ボッティチェリ展
2016年1月16日~4月3日
東京都美術館
素晴らしい!!
こんな充実したボッティチェリ展を日本にいながらにして味わえるとは!
ボッティチェリ・シリーズの見事なフィナーレ。
2014年春のBunkamura「ポルディ・ペッツォーリ美術館展」での晩年作《死せるキリストへの哀悼》の出品から始まった、ボッティチェリ・シリーズ。
2014年秋の東京都美術館「ウフィツィ美術館展」、代表作の一つ《パラスとケンタウロス》34年振りの来日のほか、初期から晩年の作品計6点(帰属1点を含む)。
2015年春のBunkamura「ボッティチェリとルネサンス」展、ピアチェンツァ市立博物館所蔵《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》、14年振り来日のウフィツィ美術館所蔵の大型フレスコ画≪受胎告知≫ほか、計17点(素描1点、帰属・工房7点含む)。
そして2016年、再度の東京都美術館の日伊国交樹立150周年記念の本展。テンペラ・フレスコ・油彩画17点、素描4点。工房作6点。
長らく観る機会のなかったボッティチェリ、突然始まった、怒涛のボッティチェリ・シリーズ4展作、最高レベルの回顧展で締める。有難いことである。(また長らく、ボッティチェリとはご無沙汰になってしまうのかなあ。)
朝日新聞ボッティチェリ展記念号外。日本側監修者より。
ボッティチェリの作品は、その人気からそもそも美術館の貸し出しのハードルが高く、今回は同時期にヨーロッパ2カ所で展覧会が企画され、ライバルも多かった。
ヨーロッパ2カ所って、どこ?
おそらくこれ。ベルリン美術館とロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の共同企画。
The Botticelli Renaissance
2015年9月24日~2016年1月24日
Gemäldegalerie, Berlin
Botticelli Reimagined
2016年3月5日~7月3日
Victoria and Albert Museum, London
なんでもボッティチェリ作品が50点以上集められるという(素描も含んでの数だと思う)。また、ボッティチェリ作品にインスパイアされた19世紀から現代の作品が多数並ぶらしい。
現在展示中のワシントン・ナショナル・ギャラリー《胸に手をあてた若い男の肖像》は、どうやらベルリンを途中退席し東京へ、東京では1月16日から2月25日まで展示されて途中退席、その後ロンドンに向かうようだ。
なお、ベルリンの展覧会は1/24に終了。入場者数は19万人とのこと。
もう一つ、次の展覧会がある。
Botticelli and Treasures from the Hamilton Collection
2016年2月18日~5月15日
The Courtauld Institute of Art, London
これは、ベルリン美術館所蔵のボッティチェリのダンテ『神曲』素描の展覧会のようだ。
手元のボッティチェリ画集を見ると、ベルリン美術館もV&A博物館もコートールド美術研究所も、ボッティチェリ作品を所蔵している。さすがである。
ベルリン美術館
《聖セバスティアヌス》195×75cm
《ヴィーナス》158×68.5cm
《ラクツィンスキーの聖母》直径135cm
《バルディ祭壇画》185×180cm
《『神曲』素描》
V&A博物館
《ズメラルダ・ブランディーニの肖像》65.7×41cm
コートールド美術研究所
《コンヴェルティーテ祭壇画》214.9×192.1cm
よくこれら展覧会(当然、イタリアはこれらの展覧会にも貸し出している)に対抗して、ボッティチェリ作品を持たない国(実は1点、丸紅が所蔵している)に、これだけの質・量のボッティチェリ作品を持ってきてくれたものだ。予想をはるかに超える「今後何十年と日本では見られない規模の展覧会」。関係者に感謝。