「カラヴァッジョの真筆 東京で世界初公開へ」
本日朝のNHKニュース。
3/1から国立西洋美術館で始まる「カラヴァッジョ展」に、真筆の《法悦のマグダラのマリア》が世界で初めて一般公開されるという。
記事には、「ヨーロッパの収集家のコレクションの中から見つかったもので、おととし、イタリアの研究者が調査を行った結果、女性の表情や布のひだなど細部の描写やキャンバスの裏に貼られていたとされる紙などからカラヴァッジョの真筆と鑑定された」とある。研究者はミーナ・グレゴーリ氏。カラヴァッジョ関係ではよく耳にする名前である。
《法悦のマグダラのマリア》は、ローマで殺人を犯して逃亡中の1606年、ラツィオのコロンナ家の領地で描かれ、画家が最期まで所持した、または、何枚も描いた、とされる作品。
人気があったらしく、コピー作品が多数存在するが、画家のオリジナル作品は確認されていなかった。
2001年に東京・岡崎で開催されたカラヴァッジョ展では、今回報道の作品とは別の、ローマ・個人蔵の《法悦のマグダラのマリア》が出品された。展覧会図録の解説では、ミーナ・グレゴーリ氏は、1985年のニューヨークとナポリで開催の展覧会で、この作品を画家の原作として提示したとある。
全く、真贋は、素人には窺い知れない世界である。この世界においては、素人は、疑わしきものは全てクロと思った方が良いのかもしれない。
とペシミスティックになっているのは、ボス報道も要因。
三菱一号館美術館のプラド美術館展で、初めてボスの真筆作品を観ることができたと喜んでいたが、先般、ボス没後500年に向けた調査・保存プロジェクトのなかで、《愚者の石の切除》は、ボスの原作に基づく周辺者によるコピー作品とされたことを知った。私的にショック。プラド美術館の抗議なのかなんなのか、《愚者の石の切除》は、東京からオランダには向かわず、マドリードに戻ったようだ。
まずは、今回のカラヴァッジョ展の《法悦のマグダラのマリア》をじっくり眺めることとしよう。宮下規久朗氏の著作で紹介されていた「ロンギのプロトタイプ」だったりすると、嬉しいのだけれど。