ボッティチェリ展
2016年1月16日~4月3日
東京都美術館
会期も今週末までとなったボッティチェリ展を再訪する。
ピーク時間帯は避けたものの、さすがに相応に混雑していることもあり、ボッティチェリ名およびフィリッポ・リッピ名の油彩画に絞ってじっくり鑑賞する。
以下、特に眺めた作品。
《ラーマ家の東方三博士の礼拝》1475-76年頃、111×134cm、ウフィツィ美術館
入場後すぐ、いきなり目の前に現れる、本展の目玉作品の一つ。
想像より小さいサイズだったこの作品、何故か見入ってしまい、なかなか次に移動できない。
ところで、画面左側で観者の方を見ている男は誰なのか。画面全体では観者の方を見ている人物は3人いて、画面右側の2人は注文主と画家とされる。2人と同等程度の重要性のある人物だとすると、注文主の息子か、画家の兄?
《バラ園の聖母》1468-69年頃、124×64cm、ウフィツィ美術館
ボッティチェリ初期の聖母子像、ここに極まる。見つめ合う聖母子。
《書斎の聖アウグスティヌス(あるいは聖アウグス ティヌスに訪れた幻視)》1480年頃、152×112cm、フィレンツェ、オニサンティ聖堂
「マルティーノ修道士はどこだ。彼は逃げた。どこに行ったのか。プラート門から外へ。」 by ユークリッド
《聖母子(書物の聖母)》1482-83年頃、58×39.6cm、ポルディ・ペッツォーリ美術館
イエスは左手に3本の金箔釘を持ち、腕には茨の金箔冠を通している。
マリアは金箔の方向に目を向け、想いを馳せる。
《聖ヒエロニムスの聖体拝領》1496-97年頃、38×28cm、ミラノ・個人蔵
「聖人の謙虚さと慎み深さを伝えるこの主題は、サヴォナローラに好まれ、彼を支持する「泣き虫派」の個人祈祷用の絵画として数多く制作された。」
「メトロポリタン美術館に所蔵される同主題・同構図の作品の本人によるコピーであると考えられる。」
《アペレスの誹謗(ラ・カルンニア)》1494-96年頃、62×91cm、ウフィツィ美術館
無知と猜疑
不正
憎悪
欺瞞と嫉妬
誹謗
無実
悔悟
真実
《オリーヴ園の祈り》1495-1500年頃、53.6×37.9cm、グラナダ・王室礼拝堂
「構図は、1495年に印刷されたサヴォナローラの説教集に収められた同主題の挿絵木版画からの正確な引用である」。
フランスのタペストリー製作所
《温和なミネルヴァ》1494-1500年頃、256×155cm、フランス・個人蔵
本タペストリーは、ボッティチェリとその工房の下絵カルトンに基づく。
盾に描かれたメドューサに注目する。
《胸に手をあてた若い男の肖像》(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)だけがいない展覧会後半。
彼がいた、今は何も掛かっていない壁を見つめ、その不在の大きさを知り、そっと壁に触れてみる。
彼は、今ロンドンのボッティチェリ展にいるはず。
本展は、3/18に入場者20万人を突破したという。最終的に30万人に達するだろうか。