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カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネ》 - 【その9】カラヴァッジョ展(国立西洋美術館)

2016年03月27日 | カラヴァッジョ

カラヴァッジョ展
2016年3月1日~6月12日
国立西洋美術館


カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネ》
1602年
94×131cm
コルシーニ宮国立古典美術館

 

 

   図録解説より、重要なペンティメント(描き直し)2箇所について


1)画面右側、ヨハネが視線を向ける辺り。

   仔羊が描かれていたが、画家自身により塗りつぶされる。

→ヨハネの後ずさるような姿勢の意味が明らかに。


2)ヨハネの左手が握られている位置。

   ヨハネの葦の十字架が左手に握られた形で描かれていたが、十字架が消された。

→この辺りに余地ができ、膝の突出が目立つようになる。

 


   帰属作品《仔羊の世話をする洗礼者聖ヨハネ》が隣に展示。
   まあ、真筆ではあるまいと思っていたら、図録解説には、近年の修復・調査により、用いられた技法がカラヴァッジョのほかの作品に見られるのとまったく同じであることが判明した、とある。最晩年の作と推定しているらしい。

 

   カラヴァッジョによる、他の、洗礼者聖ヨハネ単独像の作品。


《洗礼者聖ヨハネ》
1602-03年
129×95cm
カピトリーノ絵画館

   ヨハネを示す持物(杖や仔羊など)が見当たらないこと、画面左下に火のついた薪が見えることから、「犠牲から解放されたイサク」を描いたものとも考えられているらしい。

 

《洗礼者聖ヨハネ》
1604-05年
172.7×132.1cm
ネルソン=アトキンズ美術館

   沈思するヨハネ。

 

《洗礼者聖ヨハネ》
1610年頃
159×124cm
ボルゲーゼ美術館

 

   1610年に画家が没した時に所持していた3枚の絵画のうちの1枚とされる作品。2009-10年の京都・東京上野で開催のボルゲーゼ美術館展で来日。

 

   カラヴァッジョは、ほかにも断首系の洗礼者聖ヨハネも多数描いている。そんなに、洗礼者聖ヨハネの需要が多かったのだろうか。



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