東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

シュルレアリスム展(国立新美術館)

2011年02月13日 | 展覧会(西洋美術)

シュルレアリスム展-パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による-
2011年2月9日~5月9日
国立新美術館



なぜシュルレアリスム展?
と疑問に思いつつも、ポンピドゥセンター所蔵作品中心の展示ということに多少の期待もしての訪問。



感想



1 キャプション


全5章からなる展覧会。
個別作品のキャプションは一切なし。それは別に構いません。
その代わり、シュルレアリストたちによる文章が紹介されたキャプションがあちらこちらに。
しかし、こんな難解で、そもそも意味があるのかないのか不明な文章なんて・・・。
これらキャプションは、かえって鑑賞の邪魔でした。



2 アンドレ・マッソンとヴィクトル・ブローネル



初めて知る名前。展覧会の第二室目から最後まで、次々と彼ら二人の作品が登場する。
最初は物珍しさで見ていましたが、そのうち・・・。



あとで出品リストで確認すると。
展示作品は全173点。うちマッソン27点、ブローネル19点の計46点と27%を占める。
油彩系作品に限ると全71点中、マッソン14点、ブローネル10点の計24点(34%)と、3分の1が彼らの作品。



これではまるで「マッソン、ブローネルとその仲間たち」展。
少なくとも個人的にはその印象。
キリコ、マグリット、ミロ、ダリといった西洋美術史上のスターによる作品も、彼ら二人の「わけのわからない」あるいは「気味の悪い」作品群によりかすれてしまう。



彼らは(当時の)フランスでは人気画家(たっだの)かもしれないが、少なくとも本展覧会出品作品の限りでは、今日本でこれほど多数の作品を鑑賞するに値する画家とは思えない。

(インターネットで調べると、マッソンは「第一次世界大戦で兵士として参加し、重傷を負った」「娘も画家、息子は音楽家、義弟は哲学者・精神分析家のジャック・ラカン」、ブローネルは「ある事件で左目を失った」等とある。作品とは別のところで、世の人の関心を引かせる何かがあったのかもしれない。)


 


3 お気に入り作品



と、ネガティブ感想が先行するなか、その気分を吹き飛ばしてくれるようなお気に入り作品が1点。
アルベルト・ジャコメッティのブロンズ作品「テーブル」。
これはいい!
ぐるぐると何度もその周りを周っていました。


 



どうせ、ポンピドゥセンターから持ってくるならば、シュルレアリスムなんて無理にテーマを絞らずに、ポンピドゥセンター名品展にしてほしかったなあ。もっとお気に入り作品も出てきて、楽しめただろうに。



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