ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界
1780年パリに始まるエスプリ
2018年6月28日~9月17日
三菱一号館美術館
会期最初の土曜日の午後3時半頃に訪問するが、最初の展示室からびっくり。
その1:混んでいる。
会期始めは空いているものと思い込んでいたが、とんでもない。
最初の展示室。人がいっぱい。広さの割に展示品が多く、展示ケースの前には待ち行列もできている。
当館で一番広い展示室。「ショーメの歴史を象徴する厳選された19点のティアラと約200点のティアラの模型が一堂に会す」この展示室では、写真撮影が可能。で、19点のティアラを鑑賞(=撮影)するための長い待ち行列ができている。その長さに、私は鑑賞(≒撮影)をパスする。
2階の二つ目の狭い展示室。狭い空間のなか、無理して、最前列鑑賞用と第2列鑑賞用とに列を分けている。
たいへんな人気であるらしい。会期が進むとますますたいへんになるだろうから、訪問時間帯をよく考慮する必要がある。
撮影可能なティアラの模型より
その2:肖像画もある。
宝飾だけではない。フランスから持ってきた肖像画も展示されている。
豪華な衣装と宝飾をまとう人物の肖像画。展示される宝飾品とコラボされている。
最初の展示室では、5点の肖像画に囲まれる。ナポレオン。皇妃ジョゼフィーヌ。ナポレオン3世皇妃ウージェニー。カロリュス=デュラン作(1889年)の赤いドレスの女性。これら4点は大サイズ。そして、マリー・ローランサン作の女性肖像画。
以降の展示室でも、数は減るものの、王妃オルタンス(ナポレオンの義理の娘)、皇妃マリー・ルイーズや、ドンゲン作(1925年)の女性肖像画(←なかなか良い)などがある。
1780年創業のショーメは、統治者に気に入られることで発展したのだなあ、と認識する。
その3:きらびやか。
宝飾に全く無知な私だが、展示される宝飾品は、きらびやかで、精巧な細工に感心するばかり。
現代あるいは近い時代のものは少なめで、ナポレオンの時代から1930年代くらいまでの古い時代のものが多い印象。
特に芸術作品的な展示品から2点を挙げる。
《皇帝ナポレオン 1 世より贈呈された教皇ピウス 7 世のティアラ》
1804年12月2日のパリ・ノートルダム大聖堂における戴冠式に出席した教皇に感謝の意を表明するため、ナポレオンが贈ったもの。
《ホープ・カップ》
ジャン=ヴァランタン・モレル
1853-55年
カラード・ストーンに彫を施した杯。ペルセウスの物語。ペルセウスのほか、退治される海の怪獣、裸体のアンドロメダ、メドゥーサ、セイレーン、など見応えたっぷり。なお、作品名は注文主のホープからきている。
その4:観客
ほぼ女性グループやカップル。男ひとりはレア。
ショーメの人らしい人に個別にアテンドされて鑑賞している方も時折り交じる。おそらく本展に招待された上顧客なのだろう。
出品リストはなく、厳選作品を紹介するカラー版の作品解説リーフレットが用意されている。
本展の構成
1 歴史の中のショーメ
2 黎明期のミューズ
(1)皇妃ジョゼフィーヌ
(2)王妃オルタンスと皇妃マリー・ルイーズ
3 戴冠!ティアラの芸術
4 旅するショーメ
(1)時間旅行
(2)水平線の彼方の新たな世界へ
5 自然を披露する
(1)自然史
(2)「この光輝く金と宝石の世界」(ボードレール)
6 身につける芸術=ジュエリー
7 キネティック・アートとしてのジュエリー
8 遥けき国へ - ショーメと日本