JR錦糸町駅から「タワービュー通り」という名の通りを東京スカイツリーを正面に見ながら歩き、「たばこと塩の博物館」を移転後初訪問。渋谷の大繁華街の中心部にあった時代とは異なり、この博物館に行こうとしない限りは絶対に行くことはないような場所に位置することを知る。
「たばこと塩の博物館」のあとは、せっかくここまで来たのだからと、ソラマチ9階にある「郵政博物館」に向かう。大手町にあった逓信総合博物館からの変更・移転後初訪問。そもそも東京スカイツリーの真下近くに来るのも始めて。真下近くから見上げるスカイツリーはそれほど高く感じない。東京タワーと変わらない。一定限度を超えると、高い以上は感じなくなるだろうか、私は。
さて、郵政博物館は、1階からエレベーターやエスカレーターで一気に行けない。まず8階まで行って、そこから別エレベーターか階段となる。8階までの店舗フロアと変わって、9階のオフィス装いのフロアに戸惑うが、確かに博物館はある。入場料300円。
展示室の中心部に「日本最大の所蔵数を誇る世界中の切手約33万種を一堂に展示」するコーナーがある。国別に分けられている。ヨーロッパコーナーの五十音順に並ぶ国のなかから、なんとなく始めの方にある「イタリア」を見る。美術系の切手も結構多い。
カラヴァッジョもあるかな、とネットの力も借りながらカラヴァッジョ切手を探す。
見つけたのは3種。
1)1960年発行、カラヴァッジョ没後350年切手
オッタヴィオ・レオーニが描いたカラヴァッジョの肖像画が採用されている。
この時点で、既にイタリアでは記念切手が発行されるほどの人気の画家だったのだ。
なお、サン・マリノ共和国でも没後350年切手が発行されている。ボルゲーゼ美術館所蔵《果物籠を持つ少年》である。小国サンマリノ共和国は、切手発行が大きな収入源と聞いたことがある。
2)1973年発行、カラヴァッジョ生誕400年記念
ローマ・カピトリーノ美術館所蔵の《洗礼者ヨハネ(解放されたイサク)》が採用されている。
長らくカラヴァッジョの生年は1573年と考えられていて、その生誕400年に向けて調査を行なっていたところ、実は生年は1571年と判明した、との話を読んだことがある。
1973年時点では、生誕400年切手を発行するほど、生年1573年が揺るぎない説だったのだと認識する。
なお、この年、サン・マリノ共和国発行の生誕400年切手は見当たらず、発行はなかったようだ。
3)1975年発行、ヨーロッパ切手
ヨーロッパ切手というのは、ヨーロッパ各国が共通デザインまたは共通テーマで切手を同時に発行するという企画切手であるらしい。
1975年の共通テーマは「美術」であったよう。
イタリアの2種のうち1種がカラヴァッジョ。ナポリのカポディモンテ美術館所蔵の《キリストの笞打ち》の部分図である。もう1種はティエポロの作品。
望外のカラヴァッジョ切手の実物との遭遇に興奮する。実物を入手したいとも思ったが、一時の気の迷い、やっぱりやめておこう(そもそもどこで入手できるのか知らないし)。
なお、郵政博物館のイタリア切手の展示は、1999年頃の発行分まで。
その後の2010年、カラヴァッジョ没後400年切手が発行されている。ボルゲーゼ美術館所蔵《ダヴィデとゴリアテ》。