スコットランド国立美術館
THE GREATS 美の巨匠たち
2022年4月22日〜7月3日
東京都美術館
スコットランド国立美術館の西洋美術コレクション。
これまで日本でも、各種美術展でその名品が披露されている。
1993-94年と2005-06年に、スコットランド国立美術館展が開催されている。
1993-94年は、首都圏会場が新宿の伊勢丹美術館と横浜そごう美術館で、ヴァロネーゼ、エル・グレコからピカソまで、16-20世紀西洋美術とスコットランド美術を対象とした模様(今回と似ているが、今回の対象期間は15-19世紀)。
2005-06年は、首都圏会場が Bunkamuraザ・ミュージアムで、フランス印象派と19世紀スコットランド美術を対象とした模様。
私的には、両展とも、見たのか否か記憶に残っていない。
また、ここ10年間では次の作品が来日。
これら作品は強く印象に残っている。
フェルメール
《マルタとマリアの家のキリスト》
→2018-19年「フェルメール展」
レオナルド・ダ・ヴィンチ(帰属)
《糸巻きの聖母(バクルーの聖母)》(寄託)
→2016年「レオナルド・ダ・ヴィンチ - 天才の挑戦」展
シャルダン
《カーネーションの花瓶》
→2012年「シャルダン展」
今回の「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展には、93点の作品が来日している。
当然のことながら、スコットランド国立美術館が所蔵する名品のごく一部である。
そこで、ないものねだり企画。
来日していないスコットランド国立美術館の名品たち10選
ボッティチェッリ(1444頃-1510)
《眠る幼子キリストを崇拝する聖母》
1485年頃、122.0×80.3cm
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レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)
《犬の足の習作》
1490-95年頃、14.1×10.7cm
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ティツィアーノ(1485/90頃-1576)
《海から上がるヴィーナス》
1520年頃、74.0×56.2 cm
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エル・グレコ(1541-1614)
《寓意》
1580-85年頃、67.3×88.6cm
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ドメニキーノ(1581-1641)
《羊飼いたちの礼拝》
1606–08年、143×115 cm
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フランス・ハルス(1582/3–1666)
《Pieter(?) Verdonckの肖像》
1627年頃、46.6×35.7 cm
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ヘンリー・レイバーン(1756–1823)
《ドゥッディングストン湖でスケートをするロバート・ウォルカー師》
1795年頃、76.2×63.5 cm
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ウィリアム・ダイス(1806–64)
《フランチェスカ・ダ・リミニ》
1837年、142×176 cm
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サージェント(1856–1925)
《ロックノーのアグニュー夫人》
1892年、125.7×100.3 cm
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セザンヌ(1839–1906)
《大きな木》
1904年頃、81×65 cm
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これら10作品は、オーストラリア・シドニーのニュー・サウス・ウェールズ州立美術館にて2015-16年に開催されたスコットランド国立美術館展に出品されたもの。
展覧会名は、「The Greats: masterpieces from the National Galleries of Scotland」と、2022年の日本の展覧会名と同じ。
スコットランド国立美術館は、「The Greats」が決め台詞であるようだ。
(ただし、シドニーの直前、2015年に米国3都市を巡回した展覧会名には「The Greats」は使用されていない(出品構成はシドニーとは異なる)。)
シドニー展には、上記10作品*に加えて、今回の日本展出品作品(ベラスケス、レンブラント、ラファエロ(素描)、レノルズ、コンスタブル、ゴーギャンなど**)も出品されているうえに、フェルメールまで出ており、7年前とはいえ、その豪華さに感心する。
*上記10作品が、1993-94年や2005-06年の展覧会に出品されたかどうかは確認していないが、少なくともサージェント作品は出品されていたようだ。
**ヴェロッキオ(帰属)は出品されていない模様。
また、シドニー展・日本展とも参加していないような、スコットランド国立美術館の「動かさない」「動かせない」至宝、例えば、
ラファエロ(1483-1520)
《ヤシの木の聖家族》
1506-07年頃、直径101.5cm
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を含むラファエロ3作品。
(ただし、いずれも「Bridgewater Collection Loan」らしい)。
ロレンツォ・ロット(1480頃-1556/7)
《聖母子と、聖ヒエロニムス、聖ペテロ、聖フランチェスコ、聖女》
1505年頃、80.5×102.5cm
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ティツィアーノ(1485/90頃-1576)
《人生の三世代》
1512-14年頃、90.0×150.7cm
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(本作も「Bridgewater Collection Loan」らしい。)
ティツィアーノ(1485/90頃-1576)
《ディアナとアクタイオン》
1556-59年、184.5×202.2cm
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および《ディアナとカリスト》。
(ただし、両作品は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーとの共同購入であるため、交互に展示しているらしい。)
ゴーガン(1848-1903)
《説教のあとの幻影》
1888年、72.5×91.0cm
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などを見るには現地に行くしかない。
こうしてないものねだりしていると、今回、日本にいながらにして、ベラスケス、レンブラント、ラファエロ (素描)、ヴェロッキオ(帰属)、レノルズ、コンスタブル、ゴーギャンなどを楽しめることは、逆に、非常に恵まれたことなのだと思い知らされる。