大エルミタージュ美術館展
オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
2017年3月18日〜6月18日
森アーツセンターギャラリー
出品数は85点。
ルネサンス時代(16世紀)の作品は、ティツィアーノ2点とクラーナハ1点、他はバロックとロココ時代の作品が並ぶ。
1762年に即位した女帝エカテリーナ2世は、1764年、ベルリンの実業家ヨハン・エルンスト・ゴツコフスキーから317点の絵画を取得する。この1764年をもって、エルミタージュ美術館の創立年とされる。
以降も女帝は、ロシアの国力を誇示するため作品の収集に努め、仏のクロザ・コレクションや英のウォルポール・コレクションなど、34年の治世の間に約2,500点とも言われる絵画作品を、啓蒙思想家ヴォルテールや美術評論家など国内外の目利きの助言を参考にしつつ、収集する。
本展では、女帝エカテリーナ2世の治世期間(1762-1796)中の取得作品については、作品名キャプションにエカテリーナマークを付している。
【展覧会構成】
プロローグ
女帝エカテリーナ2世
第1章 イタリア
ルネサンスからバロックへ
第2章 オランダ
市民絵画の黄金時代
第3章 フランドル
バロック的豊穣の時代
第4章 スペイン
神と聖人の世紀
第5章 フランス
古典主義的バロックからロココへ
第6章 イギリス・ドイツ
美術大国の狭間で
【お気に入り作品10選】
まずは、第1章、イタリアから3選。
ティツィアーノ
《羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》☆
1538年
96×75cm
東京都美で傑作《フローラ》《ダナエ》が展示中のティツィアーノ。
本作は、女神たちに比べ美人度は譲るも、後から描し足されたという羽飾りのある帽子の描写は魅力的。
肩に掛けた濃緑のガウンから肌が透けて見えているのは、さすがに単なる経年劣化によるものだろうなあ。
カルロ・ドルチ
《聖チェチリア》☆
1640年代後半
126×99.5cm
国立西洋美の所蔵作《悲しみの聖母》により日本で知られるカルロ・ドルチ。
清楚な女性がオルガンを奏でる聖チェチリアも、甘美な雰囲気で魅力的。
ベルナルド・ストロッツィ
《トビトの治癒》☆
1632年
158×223.5cm
大画面。頭に穴をあける、または歯を抜くヤブ医者の話かと一瞬思ったら、旧約聖書の話であった。
息子トビアに魚の胆汁を目に塗り込めてもらうトビト。妻アンナ、天使ラファエロ、犬がそれを見守る。トビトの失明は回復する。
ベルナルド・ストロッツィ(1581-1644)は、17世紀ジェノヴァ派を代表する画家で、後年ヴェネツィアに移住し、ヴェネツィア派バロック様式の成立に貢献する。
☆は、エカテリーナのマーク付きの作品を示す。
続く。