東京でカラヴァッジョ 日記

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1989年神戸の「松方コレクション展」の出品作を確認する。

2019年07月10日 | 松方コレクション
   上野の国立西洋美術館で開催中の「松方コレクション展」。
   神戸市立博物館でも、3年前の2016年秋に「松方コレクション展」が開催されている。
   さらに同博物館は、その27年前の1989年にも「松方コレクション展」を開催している。
 
 
松方コレクション展-いま甦る夢の美術館
1989年9月14日〜11月26日
神戸市立博物館
 
 
   同展の構成は次のとおり。
 
・松方コレクション
1   フランスを中心とする近代絵画(61点)
2   イギリスを中心とする絵画(53点)
3   その他の国の近代絵画(21点)
4   彫刻(2点)
5   古典絵画(22点)
6   タピスリー(6点)
7   浮世絵(8点)
・松方コレクション形成の助言者  フランク・ブラングィンの画業(39点)
・松方幸次郎関係資料(24点)
 
 
   同展出品作の旧松方コレクション(西洋美術)の同展開催当時の所有者を確認する。

   出品作のうちどれが旧松方コレクションなのかきちんと確認していないが、「松方コレクション」章の1〜3、5、6に属する出品作+特別出品1点を旧松方コレクション(西洋美術)と見做す(4に属する彫刻(ロダン2点)は松方コレクションではないことは確認)。
   164点の出品となる。
 
 
【国立西洋美術館所蔵】
国立西洋美術館   16点
 
【国内】   139点
大原美術館       13点
横浜美術館       10点   
日本生命保険    10点
鐘紡                 5点
ブリヂストン美術館    3点
西宮市大谷記念美術館  2点
川崎重工業健康保険組合  2点
帝人                2点
サカタのタネ     2点
北九州市立美術館  1点
兵庫県公館     1点
加西市           1点
水沢市           1点
川崎重工業     1点
個人蔵         85点
 
 
【海外】9点
オルセー美術館            3点
ポンピドゥーセンター    4点
ナショナル・ポートレート・ギャラリー、ワシントン  1点
モレトン・ビン夫妻コレクション、ニューヨーク   1点
 
 
   まず気になる、海外からの出品作9点。
 
   オルセーとポンピドゥーセンターの計7点は、パリに留め置いたコレクションで、1944年にフランス政府が接収し、1959年の日本への寄贈返還の際、特別に重要な作品としてフランスに残すこととした19点の一部である。
 
【オルセー美術館】
ボンヴァン《チーズのある静物》
ボンヴァン《鴨のある静物》
ボンヴァン《野兎のある静物》

【ポンピドゥーセンター 】
マルケ《サン・ミシェル橋》
スーティン《つるされた鶏》
スーティン《ページ・ボーイ》
ピカソ《読書する婦人》


〈参考:フランスからの寄贈返還の対象外19点〉
★2019上野出品、☆2016神戸出品、✳︎1989神戸出品
 
【オルセー美術館】10点
ボンヴァン
《チーズのある静物》✳︎
《鴨のある静物》✳︎
《野兎のある静物》✳︎

マネ
《ビールジョッキを持つ女》
 
ゴッホ
《アルルの寝室》★
 
ゴーギャン
《シュフネッケルの家族》
《扇のある静物》★
《ブルターニュの風景》
《ヴァイルマティ》
 
ロートレック
《庭に座る女   ジュスティーヌ・デュール》☆
 
【ルーヴル美術館素描画室】4点
モロー
《ジョット》☆

セザンヌ
《「田園の奏楽」模写》☆
《調理台の上のポットと瓶》★
サン・ヴィクトワール山》

【ポンピドゥーセンター】4点
マルケ
《サン・ミシェル橋》✳︎

スーティン
《つるされた鶏》☆✳︎
《ページ・ボーイ》★✳︎

ピカソ
《読書する婦人》☆✳︎

【ブザンソン美術館】1点
クールベ
《フラジェの農夫たち》
 
 
 
   ワシントンとニューヨークからも作品を集めている。
   この2点は、ハンセン・コレクションから購入した作品。
   興味深い作品の出品が得られたのですね。

【ナショナル・ポートレート・ギャラリー】
ドガ《カードを手にするメアリー・カサット》

【モレトン・ビン夫妻コレクション】
ゴーガン《乾草の取り入れ》
 
 

   次に国内からの出品作。
 
   国立西洋美術館からの出品数は、16点。2016年の神戸と同数である。
   一方、国内所蔵作品を多く集めている。14所蔵者+個人蔵で139点。
   そのなかでも個人蔵(海外を含むかも)が85点。随分多い印象であるが、30年経った現在では、売却・寄贈などにより美術館に収まった作品も相応にあるだろう。
   当時の個人蔵の出品数は、日本の西洋美術普及における松方コレクションの存在の大きさ・広がりを示していると言えようか。
 
 
 
   あと、1989年の神戸の「松方コレクション展」の出品作で驚くのは、作者名「カラヴァッジョ」の作品および「ベラスケス」の作品があること。
   松方は、カラヴァッジョ作品、ベラスケス作品と信じて購入したのだろうか。

   1989年当時は個人蔵であった2点。
   2010年に、国立西洋美術館が伝カラヴァッジョ作品を購入し、伝ベラスケス作品の寄贈を受けている。
   国立西洋美術館サイトでは、次のように作品を紹介している。
 
 
伝カラヴァッジョ作品
17世紀ナポリ派
《キリスト像》
 
 
伝ベラスケス作品
マルカントニオ・バッセッティ(1588〜1630、ヴェローナ)
《ダナエ》
1620〜30年頃
 
 
   昔は相当カラヴァッジョやベラスケスの範囲が広かったのでしょうね。
   私的には、マルカントニオ・バッセッティ作品は常設展にて見たことがある(撮影画像を上添)が、17世紀ナポリ派の作品はたぶん未見。そのうち常設展で展示してくれるだろうか。


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