琳派誕生400年記念
琳派 京(みやこ)を彩る
2015年10月10日~11月23日
京都国立博物館 平成知新館
約半年ぶりの関西プチ美術旅行を敢行。
JR京都駅から徒歩で、京都国立博物館に向かう。
Twitter“京都国立博物「琳派 京を彩る」混雑状況 ”によると、訪問日の前週末は入場30~60分待ち。
その程度は覚悟していたが、実際は、平成知新館の中の行列の最後尾についたのが9:50で、会場内に入ったのは10:00と、10分待ちで済む。
宗達、光琳、抱一の《風神雷神図屏風》3点勢揃いが前週末で終了し、混雑のピークは過ぎたのだろうか。
とはいえ、会場内は大変な人。最初の3階フロアは鑑賞列が二重三重にできている。
閉館近い時間帯なら快適だろうなあと思いつつ、先に2階・1階フロアから鑑賞する。結局、3階の最初の展示室=第1章は、あまりの列に鑑賞を断念する。
今回は《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》に尽きる!
宗達、光悦共演―
光と歌の交響曲シンフォニー
全期間、全巻、全長
13.56メートル初公開!
重文《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵、京都国立博物館
目の前の鶴を観る。体は銀泥、くちばし・尾羽根・足には金泥の鶴。
加えて、左の方向、見える限り巻の先の方に目を向ける。飛び立ち、海を渡り、羽を休める無数の鶴が織りなす、流れるような飛翔形。リズム感が快い音楽を観ているように感じる。
あまりの素晴らしさに感嘆するばかり。なかなか作品に辿りつかない、やっと辿りついてもなかなか進まない、長蛇の列に3度並ぶ。
今は断簡となり分蔵される2作品も展示。
《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》サントリー美術館
《蓮下絵百人一首和歌巻断簡》所蔵者表示なし
これまでも、同じような断簡を見たことがあると思うが、素通りしていた。
「鶴下絵」の素晴らしさを経験した今、これらの断簡も光って見える。
もとは、前者「鹿下絵」は22メートル、後者「蓮下絵」は25メートルと「鶴下絵」より長かったらしい。
断簡でも魅力的なのだから、もとの姿のまま残っていれば、さぞ素晴らしかっただろう。ただ2作品が分断されたのは、それほど昔のことではないらしい。
後者「蓮下絵」は、関東大震災でその大半を焼失したという。(正確なことはわからないが)どうやら関東大震災前に一度切断していたが故に、一部が残り、今は断簡として分蔵されているということのようだ。
前者「鹿下絵」は、旧所蔵者・益田鈍翁がまず二つに切断。後半部分は1951年に米国・シアトル美術館が購入(2009年に来日)。その後、前半部分はさらに細かく切断され、断簡として分蔵されることとなったらしい。
「鶴下絵」が今の姿で残っていること、こうして公開してくれることに感謝しなければならない。
〈その他〉
・《風神雷神図屏風》は、宗達と抱一の2作品が展示。光琳作品の代わりに、抱一《夏秋草図屏風》東博蔵。
・屏風などの大型作品については、既視感のある作品が多い。馬齢を重ねるというか、琳派の展覧会をこれといった思いもないながら数は相応に訪問しているということらしい。
・宗達の国宝《蓮池水禽図》京博蔵は、おそらく初見だが、今一つ楽しめず。宗達の重文《牛図》ニ幅対、京都・頂妙寺蔵は、その垂らし込み技法が面白い。
結局、宗達を中心に楽しんだ。
会場が東京近辺だったら、「鶴下絵」をもう一度、なのだけど。