大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年
2012年4月25日~7月16日
国立新美術館
大エルミタージュ美術館展を再訪しました。
本展の目玉といえば、なんといっても、マティス「赤い部屋(赤いハーモニー)」。
が、それ以外にも、スーパースター画家によるスター作品とはいえないにしても、見応えがある作品が並ぶ、レベルの高い展覧会だと思います。
前回訪問時のお気に入り作品を15点ピックアップしましたが、再訪により新たなお気に入り作品を見つけることができました。
お気に入りは20点くらいになりそうです。
今回印象に残った作品。
◇レンブラント「老婦人の肖像」
この類いのレンブラント作品には引き込まれること必至。しかし前回鑑賞時には、なぜかしら拒む感じがあったのです。
今回、その理由がわかりました。
本作は、物思いに沈む「伏し目」の老婦人というイメージがありました。でも違った。
右目は確かに伏し目ですが、左目の周りだけ描写の角度が違う。左目の周りは正面を向いている。そして、左目は私(鑑賞者)を見つめている。
まるでキュビズム。いったんそのように見えてしまうと、そのようにしか見えなくなってしまいました。そのように見えるのは私だけ?
怖い顔。
◇ブルーマールト「トビアスと天使のいる風景」
「フェルメールの師」説もあるブルーマールト。
左下前景にトビアスと天使。中景には壊れかけた2つの建物、人が修復しているところのようです。そして、青空や建物の前の道?(植物?)の色彩。なんだか不思議な作品です。
2つの建物のうち後方の石造りの家。物干しなのでしょうか。壁には枠をかたどった木が差し込まれています。
その木に、ピンク色の衣服を着た人間が串刺しにされています。
怖いんですけど。そのように見えるのは私だけ?
◇ルブラン「自画像」
ルブランの自画像は好み。白い肌に青い血管が透けています。痩せていますね。
1800年作ということだから、ルブラン40半ばなのですが、本当にこんなに可憐だったのでしょうか?
隣のカウフマンも「自画像」(いかにも定番の「肖像画」風)。この女性もきれいな方です。
◇ジェイムズ・ティソ「廃墟(内なる声)」
肩を寄せ合う二人+キリスト。二人はキリストには気づいていない。
一緒に苦しんでくれている。ただし、何かをしてくれるわけではない。
◇ルイ=レオポール・ボワイー「ビリアード」
若い女性がビリアードの玉を打とうとしている。鑑賞者側にお尻をつきだしているのが艶めかしい。
この部屋には男性も女性もそして子供もいる。酒や煙草はなさそうだ。健全な娯楽場なのでしょう。
◇ジャン=レオン・ジェローム「仮面舞踏会後の決闘」
印象派に敵対したいわゆるサロン派の巨匠。
もっと大画面の作品が来てほしかったなあ。それもヌードが登場するもの(男女問わず)。ジェロームって、そういう印象なんですけど。
◇スケドーニ「聖家族と洗礼者ヨハネ」
2007年パルマ展での「キリストの墓の前のマリアたち」の衝撃以来、見逃せない画家。
今回出品2作品のうちでは「聖家族と洗礼者ヨハネ」。4人の眼の並び。
とりあえず以上で止めますが、非常に楽しめる展覧会です。