東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち」 新たな疑問

2010年05月08日 | 展覧会(西洋美術)
「ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠」展を再訪しました。

今回は、気に入った作品あるいは気になっている作品に絞っての鑑賞としました。
出品作品数80点中、概ね5分の1程度でしょうか。

ところで、詳細説明のキャプションに新たな疑問。前回は確かほぼ全ての作品にあったはずですが、今回はいくつかの作品で外されていました。

例えば、ドメニコ・ティントレット。
ドメニコ・ティントレット2作品のうち1作品で外されていましたが、外されたほうに私にとっては重要な情報が含まれていました。
美術史上有名なティントレットの息子の作とのこと。
知らなかった。ティントレットという画家は一人しか存在しないものと思い込んでいました(少なくとも美術館に展示される作品の作者としては)。これまで有名なティントレットと思い込んで見ていた作品も、実は「ドメニコ・ティントレット」作と表示されていたのかもしれない。認識を新たにしました。要注意。

<参考>
有名なティントレット:ヤコポ・ロブスティ・ティントレット(1518-1594)
息子       :ドメニコ・ロブスティ・ティントレット(1560-1635)

次に、レオン・ボナ「メアリー・シアーズ」。
ボストン出身の両親とともにパリに在住していたときに描かれたこと、当時パリ在住のアメリカ人を顧客とした肖像画家というものがいたとのこと。
そのような領域で商売が成り立つことに感心、また、この絵がボストン美術館所蔵となったのはそういう事情かと納得。
これは座り読み図録情報ですが、本作品は画家としても快心の出来だったらしく、サロンに出品したとのこと。

さらに、フランチェスコ・デル・カイロ「洗礼者聖ヨハネの首を持つヘロデヤ」。
恍惚の表情をしているのが男性か女性か、それは題名で分かるといわれればそのとおり。ただ、カラヴァッジョの影響を受けていることや、本画家は恍惚の表情を得意とし、そのような作品を何枚も残していること、本作品はそのなかでも初期の作品であること等は、非常にマイナーな画家と思われるだけに、貴重な情報と思います。

それ以外にも、本出品画家のなかではマイナーな画家、あるいは著名画家でも出品作品のなかでは地味な作品にて外されていました。最初の3部屋で特に顕著だった気がします(後半の部屋はちゃんと確認していませんが)。図録を買えば(ないしは会場内の図録を読めば)確かにより詳しい情報がわかるでしょう。また、キャプチャー自体が鑑賞の妨げとの意見もあると思います。ただ、一度付けたものをなぜわざわざ外したのか、理由を知りたいものです。


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