動物絵画の250年
2015年3月7日~5月6日
前期:~4/5、後期:4/7~
府中市美術館
印象に残る作品を記載する。
プロローグ:動物という存在(5点)
人が「人以外の命」と接した時の、驚異の気持ち。
鯉(No.1 橘保国)、手長猿(No.9 森狙仙)、鷲、栗鼠、そして、鯨。
No.5 歌川国芳≪大漁鯨のにぎわひ≫
1851年、大井村に現れた鯨。たくさんの人が遊覧船に乗って見学に来ている。舟賃高そう。大判三枚続。
1章 想像を具現する
1)縁起物の素晴らしい世界(11点)
2)見たことのない動物(15点)
ゆるい虎(No.40伊年印≪四睡図≫等)、怖い虎(No.50 円山応挙≪猛虎図≫等)、計13点の「想像」虎が並ぶ。残る2点は龍とライオン。
No.61 司馬江漢≪ライオン図≫
最近発見された作品だそうで、「顔がまるで人間のよう」というキャプションどおりの描写。
本作がもととした西洋書籍もあわせて展示。
3)空想(8点)
人がすることを演じる動物たち
No.69 上田公長≪蟹子復讐之図≫
猿にいじめられた蟹は、そのショックで子供を生むと死んでしまう。その子供の蟹は仲間とともに親の仇をうつ。
仲間集め中の蟹。ハサミ、臼は確保済のようで、次に栗と交渉中。
2章 動物の姿や動きと、「絵」の面白さ
「まるで本物のように」描いても、「きれい」ではない。
「本物どおりに細かく描く」ことが当たり前ではない。
そこから出てくる、自由に面白い「造形」の創作。
1)迫真描写の斬新さと、その思わぬ展開(7点)
どの作品の「迫真描写」にも惹かれるが、大きさから。
No.89 関蓑洲≪象図屏風≫
1862年にアメリカ船で来日した3歳の雌の象。その4年後、大坂で見世物に登場した際に描かれる。
2)姿や動きから生まれる「形」(8点)
魅力的な造形。若冲もいいが。
No.98 森狙仙≪鹿図≫
鹿のデザイン。
3章 心と動物
1)動物が醸し出す抒情とおかしみ(10点)
動物に投影した人の心情。動物CMを見ているよう。
2)人と動物の境界線(6点)
仙がいが楽しい。
No.134 仙がい≪南泉斬猫図≫
No.138 仙がい≪猫の恋図≫
3)人と同じ命(10点)
まさか14世紀の仏画も並ぶとは。
No.140≪仏涅槃図≫(鎌倉~南北朝時代)
森狙仙の猿が4点並ぶなか、その間に展示の
No.148 円山応挙≪芭蕉と虫図≫
画面の右下隅に黒い斑点。これは小さな虫で、画面左上の芭蕉の葉の上のクモの巣から何とか逃れてきたらしい。葉からは糸が垂れ下がっている。
4)子犬に惜しみなく愛を注ぐ(4点)
応挙1点、蘆雪2点、土方稲嶺1点のなかから選ぶと、
No.164 長沢蘆雪≪狗子図≫
7頭のうち、右上のうすい黒墨の後ろ姿の犬が気になる。
以上、10点を悩みつつ選ぶ。