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ミケランジェロ展-ルネサンス建築の至宝(パナソニック汐留ミュージアム)

2016年07月02日 | 展覧会(西洋美術)

ミケランジェロ展
ルネサンス建築の至宝
2016年6月25日~8月28日
パナソニック汐留ミュージアム

 

   ミケランジェロの建築に焦点を充てた展覧会。


   第1・2章にて、イントロダクション的に生涯や彫刻、システィーナ礼拝堂に触れてから、第3章で、怒涛の建築15点。


   ミケランジェロ自身による建築関係の素描・スケッチが主に並ぶ。
   美しい写真パネルや丁寧な解説、一部に模型や映像も用意されている。


1:ユリウス2世墓廊(ローマ)
2:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂ドラム(フィレンツェ)
3:コナー手稿の建築素描の模写
4:サン・ロレンツォ聖堂ファサード計画(フィレンツェ)
5:メディチ邸外壁第一層の窓(フィレンツェ)
6:サン・ロレンツォ聖堂新聖具室(フィレンツェ)
7:ラウレンツィアーナ図書館(フィレンツェ)
8:サン・ロレンツォ聖堂聖遺物顕示台(フィレンツェ)
9:フィレンツェの要塞化計画(フィレンツェ)
10:カンピドーリオの丘の広場と建築(ローマ)
11:ファルネーゼ宮殿(ローマ)
12:サン・ピエトロ大聖堂(ローマ)
13:サン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂計画案(ローマ)
14:サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂スフォルツァ礼拝堂(ローマ)
15:ピア門(ローマ)

 

   この素描がメイン・ビジュアルに使用されているのも、観て納得。

ミケランジェロ・ブオナローティ
《ラウレンツィアーナ図書館、閲覧室から玄関室への扉口案》
1526年頃
カーサ・ブオナローティ蔵

   実物が美しい。玄関室の階段。

 

   本展は、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ所蔵作品からなるが、第2章に1点だけ、トリノから素描がきている。これが素描そのものとしては一番の見応え。

 

ミケランジェロ・ブオナローティ
《システィーナ礼拝堂天井画〈クマエの巫女〉のための頭部習作》
1508-1510年
トリノ王立図書館蔵

 


   ミケランジェロ展はこれまでも時々開催されている。直近では、2013年の国立西洋美。そしていつも物足りなさ感が残る。

   出品作品は、ミケランジェロ自身の素描、デッサンが少し(あとは、周辺者によるもので水増し)。書簡少し。そして、関連作品・資料がどっさり。

   要は、ミケランジェロ自身の彫刻作品が出品されることがまずないからである。(15歳の大理石彫刻作品《階段の聖母》が出品された2013年の国立西洋美の展覧会は、初期作品1点であっても特筆すべきこと。)


   そういう意味では本展もその域内であって、また、既視感のある(2013年の展覧会にも出品された)作品も散見される。


   しかし、建築に絞ったこと(彫刻やシスティーナ礼拝堂関係は最低限に抑えたこと)、ミケランジェロ自身による素描・スケッチ数が35点と多いことは、実に良かったと思う。

   また、写真パネルや解説、模型、映像により、建築に疎い私も、理解できないながらも、この先フィレンツェに行くことがあるとしたら、ミケランジェロ建築巡りをしようかと思うほど、楽しめた。



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