東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

パウル・クレー おわらないアトリエ(東京国立近代美術館)

2011年06月12日 | 展覧会(西洋美術)

パウル・クレー おわらないアトリエ
2011年5月31日~7月31日
東京国立近代美術館


クレーは日本人に人気がありますよね。
これまでクレーの名を冠する展覧会が何度も開催されています。
私もクレーは好きです。
一番印象に残っている展覧会は、1993年にBunkamuraで開催の「パウル・クレーの芸術」展。ベルン美術館/パウル・クレー財団の収蔵作品を中心とする全272点、代表作「パルナッソスへ」もあり、私のクレー好きを決定づけた展覧会でした。


今回の展覧会は、パウル・クレー・センターの所蔵作品が中心という。
パウル・クレー・センターは、ベルン美術館が収蔵していたパウル・クレー財団のコレクションと、クレーの息子のプライベートコレクションを移して、2005年に開館した美術館。


元が同じなので、1993年の展覧会みたいだったらいいなあ、と少し期待しつつの訪問となりました。


1)鑑賞ルートが、会場内の表示では、わかりにくかった。
  家に帰ってから気付きましたが、出品リストの裏全面を使って、会場案内図と鑑賞ルートが記載されていたのですね。
  確認結果、2度も推奨ルートから外れていました。
  ・「油彩転写」最初のコーナーから次のコーナーへ移る時。誤って次の章「切断・再構成」に移っていた。
  ・「両面の作品」逆回りしていた。


◇展示構成
  プロローグ:自画像
  01:現在/進行形 アトリエの中の作品たち
  02:プロセス1 写して/塗って/写して 油彩転写の作品
  03:プロセス2 切って/回して/貼って 切断・再構成の作品
  04:プロセス3 切って/分けて/貼って 切断・分離の作品
  05:プロセス4 おもて/うら/おもて   両面の作品
  06:過去/進行形 “特別クラス”の作品たち


2)クレーの制作方法
  「クレーの作品は物理的にどのように作られたのか」
  という点にさまざまな角度から迫る本展覧会。初めて知りました。
  「油彩転写」
  「切断・再構成」
  「切断・分離」

  あと、「特別クラス」の存在。


◇油彩転写:クレーが独自に生み出した技法。
  素描を描く。
  ⇒白い紙を用意し、黒く塗りつぶす。
  ⇒もう1枚紙を用意し、先ほど黒く塗った紙を上からかぶせる。
  ⇒上から素描をおき、描線を針でなぞって転写する。
  ⇒水彩絵の具で着彩する。


◇「切断・再構成」
  作品をとりあえず仕上げて、2つ以上の部分に切断する。
  ⇒切断された断片を新たに組み合わせて再構成


◇「切断・分離」
  作品をとりあえず仕上げて、2つ以上の部分に切断する。
  ⇒それぞれ独立した作品とする


◇特別クラス
  クレーは、自ら作った作品リストに記載した作品をある時点より、マーケティングの観点から8つのカテゴリーに分けた。
  それとは別に、「特別クラス」のカテゴリーを設けた。
  これは、自らの制作における模範的作品と画家が考えた作品であり、画家の手元に遺された。
 

3)油彩画が少ない。
  あまり意識していなかったのですが、実はクレーの油彩画を見ることを期待していたよう。
  1993年の展覧会は油彩画が相応にあり、かつ代表作も含まれていたので、印象が強かったのですね。
  そういう意味では今回の満足度は半分くらいかなあ。

  印象に残った作品は、次の2点です。
  ・嘆き悲しんで(177)
  ・兵士(23)



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