カラヴァッジョ展
2016年3月1日~6月12日
国立西洋美術館
カラヴァッジョ《ナルキッソス》
1599年頃
113.3×94cm
ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館
実像と虚像、強い光に照らされた膝を支点にして上下反転した2つの像で形作られる円環。
その構図が印象的な《ナルキッソス》。
2001年のカラヴァッジョ展にも出品されており、今回が2回目の来日。
90度回転させてみる。
180度回転させてみる。
真筆性に異論もある作品だよなあと思って図録解説を見ると、カラヴァッジョ作とする意見とスパダリーノ作とする意見があって、長年議論がなされてきたらしい。
まあ、どちらであっても、作品自体の魅力に変わりがあるわけではない。
スパダリーノ(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・ガッリ)
Giovanni Antonio Galli detto lo Spadarino
ローマ、1588-1652年
同時代の医師・美術愛好家で著書『絵画に関する諸考察』でカラヴァッジョの短い伝記を残したマンチーニは、スパダリーノをカラヴァッジョに最も近い追随者の一人として位置づけている。
スパダリーノは、2016年のカラヴァッジョ展での出品はないが、2001年のカラヴァッジョ展では2点の出品があった。
《ローマの聖フランチェスカ》
1610年代
42×69cm
ローマ、ラヴァーロ銀行蔵
天使から授かった書物を読むローマの聖フランチェスカ(1384-1440年、1608年に列聖)。
画面上部が切断されたと考えられている。
《守護天使》
1610年代末
200×150cm
リエーティ、サン・ルーフォ聖堂
スパダリーノは、1620年代以降は作品数も少なく、質も衰えたらしい。
《ナルキッソス》がスパダリーノの作だとすると、その制作年代は上掲2作品と同時期となるのだろうが、どうだろうか。