カラヴァッジョ展
2016年3月1日~6月12日
国立西洋美術館
本展出品で初めてその存在を認識した作品の一つ。
《マッフェオ・バルベリーニの肖像》
1596年頃
122×95cm
個人蔵
1568年生。1606年枢機卿。1623年、ウルバヌス8世として教皇に即位。1641年没。
真筆性はどうかなあ。
解説を読むと、「近年の修復と科学調査の結果、下塗り層に尖筆で輪郭をかたどる下描きの手法が発見されたことから、カラヴァッジョ作品であることを再確認した」とある。そうですか。
カラヴァッジョ作品とされる肖像画は、総じて真筆性に疑問符、という印象がある。
本展会場最後の、カラヴァッジョ作品の分布状況を示したパネルに取り上げられた肖像画を確認してみる。
「現存する唯一真筆確実な肖像画」
《アロフ・ド・ヴィニャクールの肖像》
1607~08年頃
195×134cm
ルーヴル美術館
1547年生-1622年没。フランス人。1601年からマルタ騎士団の騎士団長。1607年マルタにやってきた画家を受け入れ、殺人を犯した者は騎士になることができないという会規を曲げてまで騎士にするため奮闘する。
「もう一人のマルタ騎士団員」
《マルタ騎士団員(フラ・アントニオ・マルテッリ)の肖像》
118.5×95.5cm
フィレンツェ、ピッティ宮パラティーナ美術館
マルタ騎士団メッシーナ支部長。
「出品作品と同一人物」
《マッフェオ・バルベリーニの肖像》
1603年頃
個人蔵
本展出品作と同じ人物の肖像。1963年にロンギにより公にされて以来、一度も展覧会に出品されたことはなく、個人コレクションのなかに留まってきたという作品。
「本当にカラヴァッジョ?(その1)」
《バロニオ枢機卿の肖像》
ウフィツィ美術館
1538生-1607年没。1561年、聖フィリッポ・ネーリ設立のオラトリオ会に入会し、1593年にその総長に就任。1596年に枢機卿。「教会年代記」(1588-1607)を執筆した。
「本当にカラヴァッジョ?(その2)」
《教皇パウルス5世の肖像》
ローマ、個人蔵
1552-1621年(在位1605-1621年)。ボルゲーゼ家出身。甥のシピオーネ枢機卿(1576-1633年)は、その立場を最大限利用し、現ボルゲーゼ美術館のコレクションの基礎を作りあげる。
もう1点、現存しないが、必ず画集で触れられる作品。
「カラヴァッジョの唯一の女性肖像画は、第二次世界大戦直後に消失」
《フィリデの肖像》
ベルリン、カイザー・フリードリヒ美術館旧蔵
フィリデ・メランドーニ。シエナ出身の高級娼婦。当時18歳ほど。《アレクサンドリアの聖カタリナ》(マドリード、ティッセン=ボルネミッサ・コレクション蔵)、《ユデットとホロフェルネス》(ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館蔵)のモデルにもなっている。
まずは、ルーヴル美術館所蔵の肖像画を実見したいなあ。
日本テレビが、2018年から4年に1度、計5回開催することが決定したという、「大規模な」「ルーヴル美術館展」に期待したい。