感動しました

このクロステッチの刺繍は、以前音楽療法にお伺いをしていた
デイサービスで知り合った高齢者のＳさんの作品です。

４月のお花見の頃、たまたま通りかかった公園でお花見をしていた
老人施設の皆さんとお会いする事が出来ました。

その中にこの作品の主の９０歳を既に超えられているＳさんがいらっしゃり
運良くお話をする機会に恵まれました。

Ｓさんはとっても上品な方で、いつもにこやかで、一緒に音楽を楽しんで
下さっておりました。
女学校時代に歌われた「流浪の民」という歌がお好きで、ＣＤが欲しいといわれ
探しましたが、見つからず、歌って差し上げる事でお許しを頂きました。
そのＳさんから以前刺繍の布巾を頂き、そのお話をした所、とっても喜ばれ
先日、この作品を私にプレゼントしてくださいました。

そして達筆なお手紙まで頂戴し感動しているぴあのんであります。
文章を書いていると人生の大先輩のＳさんの穏やかなお顔が瞼の裏に
浮かんできます。

Ｓさんも若い時代に股関節の手術をなさり、今は車椅子生活をしていらっしゃい
ます。
私の脚を自分の事のように心配をして下さっておりました。
元気に歩行する私を見て、「良かった良かった」と何度も言ってくださいました。

私が年を重ねた時、こんなにも穏やかに人生を過ごす事が出来るかしら～？
ふと、自分の将来を思ってみました。

音楽療法という仕事に出会わなかったら、私はこのような素晴らしい先輩と
出会わなかったと思います。
Ｓさんだけではなく、大勢の先輩とご縁をつくり、一緒に音楽を楽しむことが出来
出会いの少ない方々から比べれば、私は幸せ者です。

こういう出会いがあったということは、
私自身が心を美しく素直に持てということでしょう。

この仕事に就く前の私はそりゃ～厳しい音楽（ピアノや歌）の先生でありましたし、生活面や社会面においても結構自己中心的な自分がおりました。

１５年前に様々な障害を持つ生徒や高齢者と出会い、人様とふれあい、
私自身が徐々に変わっていった様に思います。
人は「年を重ねたから」と言いますが私は「年＋出会い」であったと、
いま、そう思うようになってきました。

姑の介護、自分の病気、手術、子供の事などいろいろ勉強をさせてもらいました。
経験をしていない方から見れば、ありがたいと思わなければなりません。

最後にＳさんのお手紙に・・・
「無理のない程度に淋しい人々に愛をそそいで下さいませ、本当にうれしゅう
ございました」

この言葉を糧にこれからもずっとがんばっていきたいと
心から願っているぴあのんです。