上越の五智国分寺は、奈良時代に全国に作られた国分寺の一つ。 ↑ 親鸞聖人像
本尊は「大日」「薬師」「宝生」「釈迦」「阿弥陀」の五つの如来像。
この5つの知徳を持つ像が5体あるので五智如来というそうだ。
寺のある上越市五智という地名もここに由来する。
←山門
寺の歴史は時代の荒波にもまれ、創建以来盛衰を繰り返す。
鎌倉時代には、越後流刑された親鸞聖人の滞在寺として栄えた。
しかし、15~16世紀には見捨てられた寺となっていたそうだ。
創建時の寺院は大地震で海中に没したという説もある。
←三十塔
この寺を再び世に知らしめたのはあの上杉謙信。
親鸞聖人ゆかりの寺が荒廃するのを惜しみ、寺を現在の位置に再建した。
謙信の死後も江戸時代には幕府の庇護下に置かれた。
さらに、松尾芭蕉もあの『奥の細道』の道中にこの地を訪れ
薬欄に いづれの花を くさ枕
の句を読んでいる。
↓ 境内には何故か『古池や蛙飛びこむ水の音』の句碑(左)がある
右は『薬欄にいずれの花をくさ枕』の句説明文
何度か火災に見舞われて、謙信による再建時の建造物ですら今はない。
江戸期の建屋は「経蔵(1693年)」・「仁王門(1835年)」・「三重塔(1865年)」だけ。
それでも、親鸞聖人 ・ 上杉謙信 ・ 松尾芭蕉 という
時代も活躍分野も違う歴史の偉人がこの地で一体化するのだ。
恐るべきパワースポット。
←本堂
12月の初旬の五智国分寺は雪こそなかったが、冷たい雨。
駐車場も10台程度のスペースで人気観光名所ではないようだ。
実際私が訪れた日も、他の参拝者はいなかった。
でも、もっと気候が良い時期ならば訪れる客もいるだろう。
←ステンレス製の梵鐘
↑ 親鸞滞在時の草庵跡の建てられた親鸞庵
当時竹林内にあったので竹之内草庵と呼ばれる
←本堂内の本尊