インタビュー:G-DRAGON「僕は過大評価されている」(2011/05/02)
「それでも誰かの夢になりたい」
歌手・作曲家・作詞家・プロデューサー…「1人4役」
「アイドルの上をいくアイドル」に会う
来月日本ツアー、「BIGBANG」のリーダーG-DRAGON
若者ポップカルチャーの象徴
「歌手が自分の音楽作るのは当たり前なのに…気恥ずかしい」
苦労して築いた塔は簡単には崩れない
「人生の半分をレッスンに投じた。10年かけて築いた塔だから10年は持つ」
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G-DRAGON(ジードラゴン、本名:クォン・ジヨン、22)はアイドルだ。グループ「BIGBANG」のリーダーとして2006年にデビューした後、『嘘(うそ)』『一日一日』『Tonight(トゥナイト)』など、曲をリリースするたびCD売り上げでもダウンロード件数でも音楽ランキングを席巻する、韓国を代表するアイドルといえる。
いや、G-DRAGONはアイドルではない。G-DRAGONはBIGBANGのヒット曲のほとんどを作詞・作曲・プロデュースしている。ファッション界が認めるファッショニスタであると同時に、トレンドセッターでもある。だから「ダンスやルックスを武器に芸能プロダクション各社が大量コピーする従来のアイドルとは次元が違う」という評価もある。22日、この「若者世代のポップカルチャー界のシンボル」に会った。総合日刊紙にインタビューされるのは初めてだという。直接のきっかけは、BIGBANGが来月10日から1週間の予定で行うジャパンツアーだ。
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-東日本大震災の後遺症はまだ残っているが、怖くない?
「正直なことを言えば、とても怖い。でも、日本のファンは(自分が)よその国の歌手なのにもかかわらずファンになってくれたのだから、大きな災害があったからといって約束を破りたくはなかった」
-あるインタビューで「本当のアーティストとして扱ってくれるから日本に進出する」と言っていたが。
「日本は新人でも(アーティスト独自の)カラーを認めてくれるし、高く評価してくれる。だが、韓国では昔から、歌手は『アーティスト』というよりも『タンタラ』(歌手をバカにした言い方)のイメージが強かった。アイドルも同じだ。CDを出すたび、バラエティー番組にたくさん出なければならないし、ビジネスという見地からアプローチしなければならない。音楽しか教わってこなかったのに、実際に歌手になってみたら、音楽だけうまくても仕方がないゲームだった」
-「若者ポップカルチャーのシンボル」と呼ばれているが。
「とても光栄だ。そうしたイメージは僕が作ったものかもしれないし、周りの人々が作ってくれたのかもしれない。海外では歌手が自分の曲を作るのが当たり前なのに、韓国ではそれが『過大評価』されていて、少し気恥ずかしい」
-歌手・作曲家・作詞家・プロデューサーの中で、どれが一番好き?
「歌手だ。評価がどうであれ、(歌うのが)一番スリルがある」
-なぜ人々はあなたに熱狂するのだろうか。
「イメージや話題作りという点で、『流れ』を読む方法を少しは知っているからでは? ほかの音楽が流行しているとき、ハウスのようなものを真っ先にして、ハウスが流行しているときはもう少し先を行ってエレクトロニカをするという風に。もちろん、少しは計算的だったかもしれない」
-10代初めから芸能生活をしてきた。何かを失ってしまったような、物足りなさを感じる時はない?
「以前は、友達と遊べないし、彼女とも会えないので嫌だった。デビューが約束されているわけでもないのに、レッスン生として生活していた時期は『将来もし夢がかなわなかったら、どうやって両親を支えていこうか、僕の人生はどうなるのか』と、とても不安だった。そうした時期を経てCDを出し、正式にデビューしてからは、考える余裕もなく前だけを見て走ってきた。そうして10年たったら、『解脱』する時が来るのだと思う。『これが運命』という事実を受け入れられるようになったので、今は気持ちが楽だ」
-韓国のアイドル養成システムについてどう思う?
「今22歳だが、人生の半分を(レッスンだけで)過ごしたと思う。10年かけて築いた塔は崩れるのに10年かかり、5年かけて築いた塔は崩れるのにも5年かかると思う。僕は10年かけて築いてきたから、10年は行くだろうと考えてやっている。歌手はどこかへ行き、誰かがポンと打つと(音楽が)出てこなければならない。そうなるためには、4-5年間は1日も欠かさず練習しなければならない」
-勉強は嫌いだった?
「学校の勉強も大切だと思う。信じてくれるかどうか分からないが、僕は勉強ができなくはなかった。事務所は、学校で中間テストや期末テストがあると、その結果を見て、一定の点以上取れなければ翌週のレッスンに出られないようにした。僕がその基準をクリアできなかったとことは一度もない」
-G-DRAGONにとって音楽とは?
「音楽は『自分』だ。ほかに説明のしようがない」
-いい音楽、素晴らしい音楽を定義するとしたら?
「心を動かす音楽だ。歌が上手でなくても、聞く人の心を動かせれば立派な音楽だ。彼女と別れた人が屋台で焼酎を飲みながら歌う歌でも、通りかかった人がそれを聞いて悲しんだら、それも立派な音楽だ」
-ヒップホップ、R&B、エレクトロニカといったさまざまなジャンルの中で、一番魅力を感じているのは?
「今もまだヒップホップだ。生意気かもしれないが、ヒップホップをしていた人たちは、クラシックでもロックでもモダンでも何でもできると思う。ヒップホップには決まったルールや枠がないからだ。だから、言い尽くせないほどいろいろなものがたくさん出てくるのかもしれない」
-作曲する時、一番大切に思っていることは?
「新しいフィーリングだ。歌詞やテーマを考えるよりも、久しぶりにBIGBANGを見るファンの立場になって、BIGBANGに一番よく合うものが何かを念頭に置いて作業している」
-BIGBANGの曲をほとんど1人で作っている。そのためか、同じような曲が多い気もする。「自己複製」が心配になることは?
「正直なことを言えば(心配は)ある。作曲家にとって避けて通れない課題の一つだ。僕はインスピレーションを受けたらすぐに曲が書ける方だった。だが、これからはそうはできない。いや、そうしないようにする。最近は曲を早く書いても、手直しを繰り返す。以前は自分1人で聞いて評価したが、これからはほかの作曲家・社長・友達・マネージャーに聞いてもらい、検証してもらう」
-2009年のソロナンバーの歌詞に下品な言葉や女性の拉致を連想させる歌詞があり、青少年有害判定を受けた。
「若い人たちは、自分たちが言いたいことを僕が代弁し、彼らが夢を見ている所に僕が先に着いたから、僕のことを好きになったようだ。それなら、僕はその同年齢の若い人たちの考えをありのままに歌で伝えなければならない。アメリカでは3-4歳の子どもでも平気な言葉なのに、韓国人の情緒的には少し早かったようだ。今は(卑語などは)使わないようにしている。折衷点を見つけなければならないだろう」
-以前、インタビューで「G-DRAGONと言えば色眼鏡で見る人もいる」と言っていたが。
「最近は、半分は(色眼鏡を)かけなくなったようだ。以前は服も派手で、扇情的な言葉が書かれたものを着ていたし、社会的に『ん?』と思われるような言葉をたくさん使っていたからだろう」
-「最高のファッショニスタ」と評されることが多い。
「とてもいい気分だ。だが、それ以上の大きい意味はない。夢はある。ビジネスではないが、服で何かをやってみたい気はある」
-今、恋をしている?
「いつも(恋を)している気持ちだ。ところが、恋をする相手がいない。会えないから。それでも、人に知られないようにするのでは? 皆さんが知らないだけで」(笑)
-金銭問題で決別するアイドルグループが多いが、BIGBANGは先日、所属事務所と5年間の契約を更新した。
「会社が不安定だとか、僕たちを満足させられなかったら、歌手をあきらめたり、ほかの会社に移ったりすることもできたが、そうした問題がないからだ」
-「BIGBANGはビッグになりすぎて、ほかに行きたくても行きにくかったのだろう」という人もいるが。
「それも当たっている言葉だ。ほかの芸能プロダクションが移籍をオファーしてきたことはない。怖がっているようだ」(笑)
-後輩アイドルたちに言いたいことは?
「(しばらく考えた後)僕は大勢の人々の夢になりたい。みんなが僕を見て『あの人のような歌手になろう』と夢見るようになってほしい。今の新人たちは公開オーディション番組『私は歌手だ』で熱唱する先輩歌手を見ると、恥ずかしくなるだろう。そうした恥ずかしさを感じて初めて、自分にもっと集中できるようになるし、もっとしっかりした人になれるるだろう」
■「青年クォン・ジヨン」の率直な告白
「トップからゆっくり落ちたい…有名税を払うのは大変だ」
22歳の「青年クォン・ジヨン」の人間的な悩みは何?
まずは韓国人なら知らない人がほとんどいないくらい高い人気。「『BIGBANGはスターだから、いい服を着て、いい物を食べて、女の子とデートしている』と思われているが、有名になればなるほど、どこにも行けなくなる。食事をしに行っても、回りに人がいると料理が鼻に入ったのか口に入っのたのかも分からない。服を買いに行っても、『あんな安い服を買っている』と思われるのでは、といろいろ考えてしまうようになる。(スターを見る)目を変えてくれればいいのだが…。芸能人が『動物園のサル』のように見られては、僕たちもどうしたらいいか分からなくなる」
「今、一番悩んでいることは?」という質問に、G-DRAGONは「悩まずに暮らそうと思っている」と答えた。「今後5年間は悩みがない。会社と再び契約したし、やるべきことがあるから」と笑っていた。だが、それがすべてではなかった。「5年後には何をしているだろうか…それが悩みと言えば悩みだ。契約が終わっても、作曲家としてYGエンターテインメント(所属事務所)にいるだろうが、30歳を過ぎたら、歌手としては(人気を保てるという)自信が小さくなるだろう。30歳を過ぎても(人気を)保たなければならないのが僕たちの役割だが、5年、10年とたてば、やはり僕たちも(トップの座から)下りるだろうというのが分かっているから、そのための準備をたくさんしておかなければ、と思う。できるだけゆっくり下りて、キープできるようにしておかなければ」と自らに言い聞かせるように語った。
話が出た勢いでストレートに聞いてみた。「人気がなくなるのでは、と思うと怖くない?」と。すると、G-DRAGONは「先輩たちが言うように、人気は泡のようなものだ。素晴らしくて、必要だが、一瞬のうちに吹き飛んでしまうのが人気だ。そこに重点を置いてはいけないと思う。次々と別の音楽で、いい音楽で認められ続ければ、人気は付いてくるのでは」と答えた。
申孝燮(シン・ヒョソプ)大衆文化部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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※はぁ~、満足。日本語版をとても読みたかったG-Dragonのインタビュー記事。
タイトルは「僕は過大評価されている」だが、とんでもない話しで彼は韓国の大衆文化の中で過小評価されていると思うほど。
韓国のメディアをみていると、ときどき残念に感じるところがある。それは大衆芸能に関わる人(歌手や俳優)に対して扱いが悪いなという点。
大衆芸能の社会の位置づけが低いのかよくわからないが、日本なら実力や能力の応じ、高い人に対しては敬意を表し他分野の文化人と同等に扱うのに、そういうレベルの人でも芸能人というだけで記者とかインタビューアが上から目線でタレントを扱っているように見えるし、簡単にいうと扱いがぞんざいな感じがする。
それぞれの国の習慣、文化なのかも知れないのでなんともいえない。が・・・。
2ヶ月情報をおいかけただけの自分がいっても説得力ないけど、G-Dragon(クォン・ジヨン)は、まだ、たった22歳、なのに本当にすごい、すごい才能の持ち主、でも、99%を占めるのは努力と練習量で、残りの1%の稀に見る才能を開花させた人だと思う。強運とか、ふって湧いた幸運とかと無縁で、一から十まで実力で身につけたものだという気がする。
「僕は10年かけて築いてきたから、10年は行くだろうと考えてやっている」という彼の自負心がどれほど深いところから発しているのかと想像してみるだけで、なんだか胸打たれる。
G-Dragonがインタビューの中で話していた番組「私は歌手だ」↓
[私は歌手だ]イム・ジェボム - 君のために