翁の徒然なる日々

日々是自遊

夢の宝石箱が売られて行く・・・

2022-11-14 11:30:00 | 日々の徒然
セブン&アイグループの百貨店事業「そごう・西武」の売却が決まったというニュースがありました。売却先はアメリカの投資ファンドなど。今は、歴史的な円安と言われていますから、外資にとっては絶好のチャンスかもしれません。

ついにこの溶きがやってきました。
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セブン&アイ 「そごう・西武」を米投資ファンドに売却を発表 | NHK

【NHK】セブン&アイ・ホールディングスは、経営不振が続く傘下のデパート「そごう・西武」をアメリカの投資ファンドに売却すると正式に…

NHKニュース


翁の地元、クレヨンしんちゃんで知られた埼玉県春日部市でも、6年半ほど前の2016年2月に「西武春日部店」が30年の歴史に幕を下ろしました。

それから4年経った2020年2月14日、別のブログサービスに書いたのがこの文書(太字部分)


タイトルは、『かすかべから"夢の宝石"が無くなってから早4年・・・』

「西武春日部店」が平成28年(2016年)2月29日に30年の幕を閉じてから4年経つ。

匠大塚春日部本店
 
今でも、図書館の帰りなどで「匠大塚春日部本店」(旧西武春日部店)さんの前を通ると、詮無いこと思いつつ、一抹の寂しさを感じることがある。

◆老舗百貨店の閉店

2020年2月2日(土)の読売新聞朝刊のコラム「編集手帳」に、山形県内で最後まで残っていた百貨店が閉店となったことに関して、
私の愛した百貨店は〈夢の宝石箱〉だったーーー。高殿円さんの小説『上流階級』(光文社)は主人公の回想から始まる
◆開店した直後の百貨店、店員が深々と頭(こうべ)を垂れる中、7歳の私は胸を張って歩く。まるで〈お嬢様になったような気分〉で。その例えに記憶を重ねる方も少なくなかろう。 よそ行きの服、屋上の遊園地、目移りした食堂のメニュー、かつてハレの日を演出した百貨店が、地方で苦境に立たされている。
◆山形では、先週、県内最後の一店が閉店したという。街の真ん中に立つ創業320年の老舗だった。 「商業高校の女子生徒たちが改善策を市長に手渡した」「買い支えること。声を詰まらせ、市長は訴えた」。 地域版を遡ると、様々な応援の跡が見て取れる。「宿命なのかも」。閉店を告げる貼り紙に、なじみ客は絞り出していたそうだ。
◆ここにおいても都市と地方との格差が際立つ。訪日客の勢いも借り、都会の店が売り上げを維持する一方で、昨年は青森や甲府といった県庁所在地でも閉店が相次いだ。
◆容易に抗(あらが)えない大波であると思う。けれど寂しくはないか。宝石箱の一つもない街というものは。

と書かれていた。敢えて全文を引用させて頂いた。このコラムを読み、そうそう全くその通り、と思わず同感した。


ここ数年、関東でも千葉県柏市(そごう)や松戸市(伊勢丹)、東京府中市(伊勢丹)などで大手百貨店(デパート)の撤退が相次いでいる。

なお、山形県最後の百貨店とは「大沼山形本店」という百貨店で、経営母体の「大沼」(本社・山形市)が27日、山形地裁に自己破産を申請、地裁は破産手続きの開始を決定したとのこと。撤退ではなく倒産だった。

320年前といえば、松尾芭蕉が弟子の河合曾良と山形を訪れ、「閑さや岩にしみ入蟬の声」の名句を詠んだのが、元禄2年(1689年)、つまりそれとほとんど同じ時代から続いていた老舗。その老舗が今なぜ?

◆夢の宝石箱

このコラムにあるように、昔の百貨店(デパート)は、"夢の宝石箱”、"ワンダーランド”であった。

エレベーターには、エレベーターガールという店員さんがいて、各フロアを「次は〇〇階でございます。〇〇売り場は、こちらでございます」などと案内してくれた。 

また、今では想像すらできないだろうが、エスカレーターの脇にも案内の店員さんがいたのである。一歩店内に入るとそこはまさしく“夢の宝石箱”のようだった。

百貨店(デパート)の食堂は、憧れの場所であり、本当に目移りしたものである。

そして、屋上には遊具があり、遊園地であった。家族連れも長時間ここで過ごすことができた。

いつしか、エレベーターガールの店員さんもエスカレーター脇の店員さんも姿を消し、何より、デパートに行くことも少なくなった。

かつては、「西武春日部店」の前進「ロビンソン百貨店」の時代、車で行くと車の長い行列で、下手をすると、店舗隣接の駐車場にすら入れなかったことが少なくなかった。そして、少し離れた立体駐車場に入庫し、歩いてお店へ行ったこともたびたびあった。

「ロビンソン百貨店」の時代には、小さいながらも映画館が、そして、デパ地下も。

都心の百貨店(デパート)とまでとはいかなかったが、百貨店(デパート)の雰囲気を味わうことはできた。定年後、春日部に転居して、「ロビンソン百貨店」に行くことを楽しみにしていた。

近年、百貨店(デパート)は、訪日外国人客、特に中国からの観光客を重んじ、“爆買い”などの言葉が話題にもなった。報じるニュースを見て、自分たち日本人客は、何となく蔑ろにされているなぁ、と常々感じていた。

そして、今年2020年1月初旬から、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今後、その上顧客の訪日観光客が激減することが懸念されているという、なんとも皮肉なことである。

◆宝石箱はどこへ
  
かつて、“夢の宝石箱”を夢見ていたお客さんも高齢化が進み、夢を見ることができなくなった。

我が身を振り返ってみても、Amazonなどネット通販での買い物が多くなっている。

その結果、実物を手に取って選んで買い物をするという楽しみは確実に失われてしまった。

経済合理性だけを追及するあまり、心の満足度は、確実に低下している。

「西武春日部店」撤退の決定打となったとされる「イオンモール春日部」は、“夢の宝石箱”とまでは言い難い。また、「ララガーデン春日部」や「イトーヨーカドー春日部店」なども然りである。

まして、「西武春日部店」の撤退後に開店した「匠大塚」さんは、誠に申し訳ないが、“夢の宝石箱“には程遠い。

鉄道高架事業で新しくできるかすかべの街に期待する気持ちはあるが、何しろ11年もの先であり、今は想像すらできない。

西武春日部店の閉店の少し前、すぐそばにあった「ブックオフ(BO OKOFF)」も閉店、撤退した。その時も寂しさを感じた。

「西武春日部店」の場合、前身の「ロビンソン百貨店」から通算して30年で、この寂しさである。それが、320年となるとその喪失感は、相当なものであろう。山形県人のお気持ちを察して余りある。

「夢の宝石箱」を失った(奪われた、取り上げられた?)地域の人たちの何とも言えない気持ちがこのコラムから伝わってきた。

匠大塚さんの裏手の古利根川の遊歩道にプランターが並んでいた。そのうちの一つ。




今回のそごう・西武の売却、今後どうなるかわかりませんが、池袋店の一階には家電量販店のヨドバシカメラが入るとも言われている。

ターミナル駅近くの店舗は、大丈夫だと思うが、地方都市の店舗は果たして?

山形県や春日部市の多くの人たちが感じた喪失感を感じるかもしれません。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、、、。

終わり



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