会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

元社員、7億円着服の疑い 退職後も不正発注し転売か(朝日より)

元社員、7億円着服の疑い 退職後も不正発注し転売か

ジャスダック上場の「かわでん」の元社員が、不正に発注した資材を転売し代金を着服していたという記事。被害額は7億1千万円に上るそうです。

「発表によると、営業担当だった元社員は2007年11月~2014年12月の間、特定の資材を大量に発注し、転売していた。元社員は12年9月に退職しており、その後も2年あまり不正発注をしていたという。今年11月末までの購入資材を点検した際に発覚した。」

退職後も不正を続けていたというのが特異な点です。共謀者の存在が当然疑われます。あるいは、退職後もコンピュータシステムへのアクセスが可能だったりしたのでしょうか。

いずれにしても、「発注→検収→支払」というサイクルの中のどこかでチェックがかかっていれば、発見できたでしょうし、事後的に実績財務数値から異常な原価の発生ということで把握できた可能性もあります。直近年度の売上高が約180億円ということなので、会社全体でみても、7年間で7億円、年平均1億円の原価水増しは把握できそうにも思えます。部門別・製品別の原価でチェックしていれば、なおさらです。

当社元従業員による不正行為に関するお知らせ(かわでん)(PDFファイル)

「本年11月の資材検収におきまして、特定資材の不自然な大量発注を発見した」ことがきっかけで調査したそうです。

業績への影響は「過年度に発生した金額約594百万円はすでに過年度決算において費用として計上されております。当事業年度におきましても、当事業年度発生金額約116百万円は過年度同様に費用計上されております」ということで、それを信じる限りでは、最終損益には影響なさそうですが、横領金額を売上原価に含めたままでよいのかという問題はあります。

会社は社内調査委員会を設けて詳しく調べているそうなので、不正の手口なども、明らかになることでしょう。
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