金融庁の企業会計審議会は、「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」を、2009年2月4日付で公表しました。4月6日まで意見を募集しています。
この中間報告(案)の骨子は以下のとおりです(プレスリリースより)。
「国際会計基準の任意適用については、例えば、2010年3月期の年度財務諸表から、一定の上場企業の連結財務諸表に認めることが考えられる。ただし、諸情勢を見極めた上で判断する必要がある。
国際会計基準の強制適用については、一つの目途として2012年に判断することが考えられるが、諸情勢やIFRSの任意適用の適用状況次第で前後しうる(判断時期は、将来決定する)。」
先週の当サイトの記事と重複しますがポイント部分を抜粋します。
(任意適用)中間報告案11ページ
「IFRSの将来的な強制適用の展望を示し、IFRS適用の前提となる課題に着実に取り組みつつ、任意でIFRSの適用を認めることが考えられる。」
(任意適用の対象)12ページ
「例えば、継続的に適正な財務諸表が作成・開示されている上場企業であり、かつ、IFRSによる財務報告について適切な体制を整備し、前記のIFRSに基づく社内の会計処理方法のマニュアル等を定め、有価証券報告書等で開示しているなどの企業であって、国際的な財務活動を行っている企業又は市場において十分周知されている一定規模以上の企業等の連結財務諸表を対象とすることが考えられる。」
(任意適用時の並行開示)12ページ
「並行開示は、導入初年度における開示(前年度及び当年度財務諸表各1年分)に限定し、継続的な並行開示に代えて、IFRSと我が国会計基準の重要な差異の注記にとどめることや、導入初年度の並行開示(旧基準に基づく当年度分)については、監査人の監査の対象としないことなど、簡素で有効な情報提供の方策を検討することが適当である。」
(適用するIFRS)13ページ
「基本的にはIASBが作成したIFRS(日本語翻訳版)をそのまま適用」(英語の原文ではないということを強調している?)
「我が国において「一般に公正妥当と認められる」会計基準とは認められない場合には、当局として、当該部分の適用を留保すべき場合がある。」
(任意適用の時期)13ページ
「例えば、2010年3月期の年度の財務諸表からIFRSの任意適用を認めることが考えられる・・・」(四半期はダメということになりますが、年度決算でも準備が間に合わないでしょう。)
(個別財務諸表の取扱い)14ページ
「少なくとも任意適用時においてIFRSを連結財務諸表作成企業の個別財務諸表に適用せず、連結財務諸表のみに適用することを認めることが適当」
(強制適用)14ページ~16ページ
「我が国においてもIFRSを一定範囲の我が国企業に強制適用するとした場合の道筋を具体的に示し、前広に対応することが望ましい。」
「IFRSの強制適用の判断の時期については、とりあえず2012年を目途とすることが考えられるが、前記の様々な考慮要素の状況次第で前後することがあり得る」
「IFRSへの移行が適当であると判断された場合に、実務対応上必要かつ十分な準備期間(少なくとも3年間)を確保した上で、上場企業の連結財務諸表を一斉にIFRSに移行」(大規模会社から段階的に移行という方法はとらないということになります。)
報告書は以下のような記述で締めくくられています。
「仮に、IFRSを適用する場合であっても、我が国会計基準の必要性が無くなってしまうことはあり得ない。今後とも、我が国会計基準が、高品質でかつ国際的にも整合的なものとなるよう、関係者による不断の検討・対応が行われることを期待する。」
行間を読むと、IFRS移行後、日本独自の会計基準は不要だという意見もあるということでしょう。
「国際会計基準」受け入れでパブリックコメント募集開始
書籍の紹介:IFRS関連本
書籍の紹介:Wiley Ifrs 2009: Interpretation and Application of International Accounting and Financial Reporting Standards 2009 (Wiley Ifrs)
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