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破綻の旧商工ファンド、株譲渡は「資産隠し」 地裁認定

破綻の旧商工ファンド、株譲渡は「資産隠し」 地裁認定

破綻した商工ローン最大手SFCG(旧商工ファンド)が経営破綻直前、同社の財産を無償で子会社に譲渡したことについて、破産管財人が子会社に申し立てた財産相当額約300億円の支払い請求が東京地裁で認められたという記事。

「管財人によると、SFCGは昨年10月、子会社であるMAG社に対し、所有していた同社の全株1368万余株を無償で譲渡した。さらに今年1、2月には、SFCGの持っていた子会社の株やローン債権などをMAG社を含む3社に無償で譲渡していた。」(注:MAG社はジャスダック上場の「MAGねっとホールディングス」)

MAG社(SFCG元社長の長男が社長になっている)のプレスリリースや2009年3月期決算短信によると、MAG社側の言い分は少し違うようです(正確に読み取れているかどうかはわかりませんが)。

つまり、SFCGの債務についてMAG社は債務保証を行い、MAG社の子会社の株式などを担保として債務者に差し入れていた、その債務保証の担保として、SFCGからMAG社株(MAG社からすれば自己株式)、貸付債権などを担保としてとっていたのであって、無償譲渡などではない、ということです。

表面的なつじつまは合っているようですが、それなら最初からSFCGが自分の資産(MAG社株式など)を債権者に対して担保として差し出せばよかったわけであり、あえて複雑なことをやった理由ははっきりしません(MAG社の経営権を他に渡したくなかった?)。また、SFGCから担保として預かっていた資産と、SFCGの債務に対する保証が見合っているのかなどは、資産を評価しないと分かりません。少なくとも東京地裁は、無償譲渡だと判断したわけですが・・・。

MAG社の決算短信(PDFファイル)

後発事象の注記より

「当社は平成21年4月28日付にて、平成21年2月23日に民事再生手続開始の申立てを行い、再生手続廃止の決定がなされたために破産手続へと移行した㈱SFCG(以下、「SFCG」といいます。)の破産管財人より、①当社に係るSFCGに対する担保権実行の否認(当該担保権実行により取得した当社株式13,682,483株の時価相当額約43億99百万円とその利息の支払い)、②当社及び㈱ジャスティス債権回収、㈱Jファクターに係るSFCGに対する担保権実行の否認(当該担保権実行により取得した一般貸付債権の3割の約259億75百万円とその利息の支払い、ならびに同様に取得した子会社株式等その他の資産がSFCGに帰属することの確認)を求める訴訟を東京地方裁判所に提起されました。

当社といたしましては、当該2件の担保実行について問題はないものと認識しており、法廷の場において争う方針です。」

「訴訟の提起に関するお知らせ」の経過について(PDFファイル)
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