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米国会社の株主の議決権について(1)

2024-10-30 | 会社設立

議決権は、株主による会社の方針事項の決定にかかわる権利です。通常、株主名簿に記載されている株主のみが、株主総会で株主本人または代理人を通じて(無議決権株式を保有している場合を除く)議決を行うことができます。会社の株主名簿には、すべての発行済株式の所有者と株主になった登記日が記載されています。

 

民主主義の政治において全ての人が一票の権利を平等に有します。これと違って会社において株主の議決権が保有している株式数によって決まります。よって、会社の総株式数の 50% 以上を保有している株主は過半数以上の議決権を確保できる上に、会社を支配できる権利を握る可能性も非常に高くなります。次に、米国会社の株主の議決権について簡単に説明致します。

 

  1. 定足数と議決権

 

1.1    定足数の確認方法

 

規定通り株主総会の招集通知が出され、株主の出席数が定足数に達しないと各事項に関して議決できないとします。この場合では、株主の出席数が定足数に達しているかどうか(議決権には決定力があるかどうか)は株主の出席人数ではなくて株式数によって決まります。通常、1株に(定款に別段の定めがある場合を除き)は1個の議決権を持ちます。株主総会に出席した株式の数が過半数以上あれば定足数に達することと認められます。

 

例えば: 会社は 20,000 株を発行し700 人の株主から集金しています。定足数の規定に従って株主総会を開くためには10,001 株以上の直接出席または代表出出席が必要です。定足数に達していない場合、株主は株主総会では議決を行っても意味がありません。総会を開く時点で定足数に達していれば、総会の開会中に退席しても影響がなく、有効に開いたことと認められます。一方、取締役会の定足数規定は議決を行う際に、席を外した取締役がいれば定足数に達していないことになります。

 

1.2     定足数に達した場合の議決

 

(1)    取締役の選任

 

定足数に達した後、株主総会によって取締役の選任を行う際に、立候補された者は株主の過半数以上の賛成を獲得したかどうかに関係なく、立候補の取締役について最も多くの投票を獲得した場合、取締役につきます

 

(2)    定款変更

 

定款変更等株主の議決による一般事項に関して、権限の相違があります。ほとんどの州では、事項ごとに対する実際の議決権の過半数以上の確保のみが要求されています。

 

例えば: 会社は合計 20,000 株を発行しました。株主総会には、12,000個の議決権(定足数に達します)が出席しました。12,000個の議決権の出席数の中には、議案に対して実際に議決を行ったのは10,000個だけです。従来の原則によれば、決議には、出席した株主の議決権の過半数以上の賛成で6,001個の賛成票が集まったら可決されます。しかし、今の原則では、議案が可決されるために必要な賛成票は 5,001 票さえあればいけます、即ち実際に議決を行った株式総数の過半数以上を確保すれば良いです。

 

(3)    取締役の解任

 

任期満了前に取締役の解任をする場合、デラウェア州では現在依然として従来のやり方で議決権の過半数を有する株主が出席し出席した株主の議決権の過半数以上の賛成が必要です。

 

例えば: 会社は 20,000 株を発行しました。株主総会では、出席した株主の持ち株の数が12,000 株です(定足数に達しています)。このうち、実際に取締役を任期満了前に解任すべきかどうかについて議決権を行使する株主の株の数が10000株です。上記の場合ではデラウェア州では取締役を解任することはできません。解任するには、議決権を行使できる株主の議決権の過半数以上の賛成が必要であり、出席した株主の持つ議決権の過半数以上の賛成又は実際に行使された議決権の過半数以上の賛成によるものではありません。発行済み総株式数が 20,000 株で、総株式数の過半数以上の賛成を得る場合に限り (10,001 株以上の賛成) 取締役を解任することができます。当該例の中では、実際議決権が行使された株数が10,000 票しかない為、上記に説明した要件を満たすことができません。

 

一方、現在の見方では、取締役の解任に関しては実際に行使された議決権の過半数以上の賛成でさえを得ればできます。上の例では、、実際に取締役を任期満了前に解任すべきかどうかについて議決権を行使する株主の株の数が10000株ですので、5,001株以上の賛成があれば、取締役の解任をすることができます。

 

(4)    会社の根本的な変更への承認

 

株主の議決権の行使による合併などの根本的な会社変更の決定の場合、テキサス州やオハイオ州など州では依然として従来の考え方が通用され、議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上の賛成を獲得しなければならないとされています。米国模範会社法(2016年の改正版)では根本的な変更を行う際に議決権を行使できる株主の議決権の過半数以上の賛成を獲得すればよいと主張されています。よって、当該法案の主張に基づき、根本的な変更の決定は実際に当該変更に議決する株式の過半数以上の賛成を獲得すればよいという結論を結びます。

 

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