雇用主と労働者と雇用契約を締結する際に、労働契約の関連条項について合意することが多いが、競業避止、秘密保持などの関連内容についても合意することがある。しかし、全ての合意内容は有効であるわけではない。以下のような場合には、合意内容が無効となる恐れがあるため、雇用主と労働者は注意が必要だ。
状況一:
労働者と雇用主と労働関係が確立された後、労働者は自己の都合により社会保険料及び積立金の不納付を提案し、雇用主と労働者と社会保険及び積立金の不納付に合意した。あるいは、雇用主と労働者と試用期間中、社会保険及び積立金の不納付に合意した。
労働者と雇用主と労働関係が確立された後、社会保険料及び積立金は納付が強制的であり、雇用主に源泉徴収されて納付されるものとなる。社保料及び積立金の納付は雇用主と労働者の法的義務である。たとえ雇用主と労働者とは社保料及び積立金の不納付に合意したとしても、その合意は法的効力を持たない。社保料もしくは積立金に対する調査により見つけられた場合、又は労働争議等が発生した場合、社保料及び積立金の過去年度の未納分を追納しなければならない。
状況二:
雇用主は、労働者が30日前に通知せずに離職するのを防ぐため、「30日前の離職通知を怠った場合には、相応の違約金を支払うものとします」について労働者と合意する。
『「中華人民共和国労働法の徹底した実施」に関する若干の問題の意見』に関する通知において第32条は、「労働者の不法な労働契約解除により、元の雇用主に経済的損失が生じた場合には、労働者は賠償責任を負わなければならない」と定めている。労働者は30日前の離職通知を怠った結果、雇用主が経済的損失を被った場合、雇用主は労働者に違約金ではなくその損失のみが請求できる。また、雇用主は労働者に関連書類を提出する必要がある。
状況三:
雇用主と労働者とは、試用期間中は無条件で雇用契約を解除できることに合意する。
労働者と雇用主と労働関係が確立された後、雇用主は労働契約を終了させるためには、関連する要件を満たす必要がある。労働法第25条により、試用期間中に採用条件がみたされていないことが証明された場合には雇用主は雇用契約が解除できることになった。採用条件は事前に労働者に通知し、業績評価、採用説明書などの証明書類を保管しなければならない。関連書類の詳細は、啓源までお問い合わせください。
上記の3つの状況を除き、契約条項が無効となる場合はほかにある。労働契約が無効となる主な理由は、労働契約が国の関連法令の強制的規定(無効な契約:社保料と積立金の不納付、現地最低賃金を下回る賃金、振替休日や残業手当のない時間外労働に関する契約など)、及び労働契約法第26条に違反していることと考えられている。
(1) 詐欺、強要、又は人の窮地につけ込み、相手方の真意に反して労働契約を締結又は変更させる場合
(2) 使用者が法的責任を免れる場合、又は労働者の権利を排除する場合
(3) 法律、行政法規の強制的規定に違反する場合
労働契約の無効又は一部無効について争いがある場合、労働争議仲裁機関又は人民法院によって確認される。
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