隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

圧倒的な強いリズム~『はたらくおとこ』(阿佐ヶ谷スパイダース)

2007年07月07日 13時35分25秒 | ライブリポート(演劇など)
■ビデオ「はたらくおとこ」(7月2日、於・ザ・スズナリ)
●作・演出●  長塚圭史
●出  演●  中村まこと/池田成志/中山祐一朗/伊達暁/松村武/池田鉄洋/志甫真弓子/富岡晃一郎/長塚圭史


 阿佐ヶ谷スパイダース(長塚圭史 作・演出)の「暴走する男たち シリーズ」は、
   1.日本の女
   2.はたらくおとこ
   3.少女とガソリン
 の三部作で(最初はシリーズ化の意識はなかったらしい。結果的にこうなった、という…)。
 今回の『少女とガソリン』(よかったら、コチラをどうぞ)上演を記念して(?)、前2作を昼間の「ザ・スズナリ」でビデオ上映することになり、その2作を不覚にも観ていなかった私は、仕事をうまく操作?して、スズナリに足を運んだわけ。で、「はたらくおとこ」も無事に(「日本の女」は、コチラをどうぞ)。

★かっさらわれた…
 このシリーズの中で、ひょっとしたらこれがいちばん好きかも。理由は?と言われると、うまくは言えないけど。
 相変わらず、仕事を奪われた愚直な男たちが、あまり建設的とも言えない状況の中で、狭き道を突っ走っていく。
 だいたい、人が食えないようなメチャクチャ苦いリンゴを作る、という発想が異常。だけど、その苦いリンゴの味には、死んだ妻と子どもへの思いがつまっている、ということがわかると、あんなに愚かでグロテスクは男たちの暴走がせつなく見えてくる。
 農薬の問題や、はたまたサリン?まがいの危険物質が登場したりするけど、最後はある男の夢だった、というオチもある。
 正直言うと、ここで終わってもいいんじゃない?という箇所が何回かあって、私としては最後のあたりは冗長な気がしないでもなかったんだけど。
 でも、ひとりひとりの人物がくっきりと描かれていること、圧倒的な強いリズムで私たちをかっさらっていくさまで、魅了されてしまった。摩訶不思議な「長塚ワールド」なのだ!
 例によって「グロ」は健在でしたが(笑)、今回はサリン?まがいの物質で汚染された「なんだか得体の知れないもの」を食うところで、見ていて吐きそうに…。そのあとのトークショーで長塚氏がいみじくも言ってたけれど、麩にコーヒーやらを混ぜた代物だそうで、実際に食べた松村武さんは舞台上で「オエーッ」となっていたらしい。ああ、思い出しただけで気持ち悪くなる。
 (かっこいい?)暴走する男たちに交じって、紅一点の志甫真弓子が、悲しいくらいバカで、悲しいくらいせつなくて、悲しいくらい優しい女をステキに演じていたのが印象的だった。

★上映後のトークショーでの長塚圭史の発言で記憶に残っていること
インタビュアー「芝居をビデオでみていただく、ということはどうなんですか?」
長塚「今回は『少女とガソリン』をやるってことで、これまでの2作を観てもらうのもいいかな、と思って。家でビデオで芝居を観るっていうのはどうかな、と思うんですよ。やっぱり芝居小屋まで出向いていって、こういうザワザワした感じの中で観るもんだと思うし。だから、今回の新作をビデオ化する気はないんですけどね。ビデオでも、こんな形で観てもらえるならおもしろいかなと思いますね」
インタビュアー「戯曲集は?」
長塚「それは出しますよ。俺も戯曲を読むのは好きだったし。芝居を観たあとで戯曲を読んでみて、ああ、ここがあんなふうな芝居になるんだ、と思い出すのもおもしろいし。ただ、いろいろ手を加えたいので遅れちゃっていますが、出すつもりではいます、今後も」
 私のおぼつかない記憶を文章化したので、悪しからず。正確ではないかも。
 そのほか、伊達暁は食うのが遅い、とか、そんな裏話もありました。少々テンションの低めな(笑)ライターさんのMCに対して、気さくに明るく話してくれた長塚氏でした。

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