「最高の人生の見つけ方」
(2007年 アメリカ)
監督 ロブ・ライナー
出演 ジャック・ニコルソン/モーガン・フリーマン/ショーン・ヘイズ/ビヴァリー・トッド
▼ありえないおとぎ話なんだけど
余命6カ月を宣告された二人。歴史学者になりたかった知的で穏やかな自動車整備士カーター(モーガン・フリーマン)と、得意技は金儲けだけどあんまり教養はなさそうな大金持ちのエドワード(ジャック・ニコルソン)。
偶然同じ病室になった二人は「棺おけリスト」(これが原題 BUCKET LIST。死ぬまでにやっておきたいこと)に書きだしたものを実行していく。
この二人がまったく違うタイプの人間で、共通していることといったら「あと半年」と宣言された命だけ。
エドワードの財力にものを言わせて、世界を巡る超豪華な旅が始まる。自家用飛行機での移動、スカイダイビング、アフリカの原野のドライブ、エベレストへのチャレンジ(悪天候でかなわなかったけど)。これがもう究極の「おとぎ話」。ありえないでしょ!という感じ。でも、二人の無邪気な笑顔はステキだ。
友と呼べる人がいるとは思えないエドワードはカーターとの会話を楽しむ。自動車整備士として油まみれになりながら家族を養ってきたカーターは初めて自分だけに楽しさを満喫する。
おとぎ話のあいまに、二人の会話が深い。人生を、過去を、そして家族を語る。しゃれた言葉のやりとりが淡く渋い光を放つ。二人の心情や過去が少しずつ明らかになる。
三度の結婚の末に天涯孤独かと思われたエドワードにはたったひとりの娘がいること、もう何年も会っていないことも明らかになる。
カーターの妻からの「夫を返して」という電話に、エドワードはしゃれた策略を試み(これが彼らしくて、なかなかいいです)、二人の旅は終わる。エドワードのために娘との再会をお膳立てするのだが、それはエドワードの逆鱗にふれ、ケンカ別れのようになってしまう。
カーターの告別式でのエドワード。そういう席が最も苦手だった彼の弔辞がいい。そして弔辞を述べながら、彼は「棺おけリスト」の「見知らぬ人に親切にする」に横線を入れて消していく。
グッときたのは、カーターの死後、エドワードが別れた娘に会いにいくシーン。娘は優しく父親を迎え入れ、彼にかわいい女の子の娘をひきあわせるの。エドワードはかわいい孫にキスをする。「棺おけリスト」に書き入れたときカーターに笑われた「世界一の美女にキスをする」、こんな形で達成できたんだね。
ラストシーンはおとぎ話の真骨頂? エドワードの死後、二人の旅につきあって世話をした若き秘書がエベレスト?と思わせる雪の山のピークにたどりつき、雪にうもれた箱の中に骨の入った缶を入れる。中にはすでにカーターの缶が入っていて、2つの缶がそろう。「棺おけリスト」に書き入れてかなわなかった「荘厳な景色を見る」を彼らは死後ちゃんとかなえたってことなのか。
▼二人の名優で
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン共演なら、なにもおとぎ話じゃなくても…なんて思ったりもしたけれど、でも交わされる言葉の深さや遊びや、きっちり敷かれた伏線のレールに、すっかりはまってしまった(情けないけど)。こういうの、「うまい脚本」とでも言うのかもしれない。
邦題はね、例によって「ん?」な感じだけど(だって、そのタイトルだから「最高の人生ってなんだろう」が映画のテーマだって誤解しちゃう)、「棺おけリスト」っていうわけにはいかなかったのかな。「棺おけリスト」、ちょっとドキッとして悪くないと思うけど。
二人はとてもチャーミングです。モーガン・フリーマンらしさ、ジャック・ニコルソンらしさっていうところをいやがる人もいるだろうけど。冒険はないけど、「the most 適材適所」。
グダグダといろいろ書いたけど、でもおもしろかったし、「やられたな」と、私は満足だったのですが。
【追記】
ちなみに初めてジャック・ニコルソンを見たのは小さな映画館で上映されていた「ファイブ・イージー・ピーセス」。そのときは、主演の俳優が誰かなんて知らなかったんだけど。
このときの衝撃を今でも覚えている。放浪の末に立ち寄った家で、車いすの父親に自分の心情を話すシーンは圧巻だった。私の青春の一作!
「カッコーの巣の上で」は、エンドロールが流れたあとも立ち上がれないくらいの衝撃を受けた。
どちらの作品ももう一度見たいけど、あのときの衝撃のかけらも感じられない大人になっていたらどうしよう、なんて思って、怖くてDVDをレンタルできないワタシです。
話はまったく変わりますが、相変わらずヘビーローテーションです。
JAMBOREE TOUR 2009~さざなみOTRカスタム at さいたまスーパーアリーナ~(初回限定盤)
このブログのあちこちで触れていますが、DVDの音源のCDがすごいことになっているのです (なかなかDVDを見る時間がない人には、マジでうれしい初回盤です)。
できたら、「スピッツってさわやかよね~」「へ~、ロックバンドなんだ~」という方にぜひぜひ聴いてほしい (なんて宣伝してどうするんだ!なんですけど、言わずにいられなかったので)。
(2007年 アメリカ)
監督 ロブ・ライナー
出演 ジャック・ニコルソン/モーガン・フリーマン/ショーン・ヘイズ/ビヴァリー・トッド
▼ありえないおとぎ話なんだけど
余命6カ月を宣告された二人。歴史学者になりたかった知的で穏やかな自動車整備士カーター(モーガン・フリーマン)と、得意技は金儲けだけどあんまり教養はなさそうな大金持ちのエドワード(ジャック・ニコルソン)。
偶然同じ病室になった二人は「棺おけリスト」(これが原題 BUCKET LIST。死ぬまでにやっておきたいこと)に書きだしたものを実行していく。
この二人がまったく違うタイプの人間で、共通していることといったら「あと半年」と宣言された命だけ。
エドワードの財力にものを言わせて、世界を巡る超豪華な旅が始まる。自家用飛行機での移動、スカイダイビング、アフリカの原野のドライブ、エベレストへのチャレンジ(悪天候でかなわなかったけど)。これがもう究極の「おとぎ話」。ありえないでしょ!という感じ。でも、二人の無邪気な笑顔はステキだ。
友と呼べる人がいるとは思えないエドワードはカーターとの会話を楽しむ。自動車整備士として油まみれになりながら家族を養ってきたカーターは初めて自分だけに楽しさを満喫する。
おとぎ話のあいまに、二人の会話が深い。人生を、過去を、そして家族を語る。しゃれた言葉のやりとりが淡く渋い光を放つ。二人の心情や過去が少しずつ明らかになる。
三度の結婚の末に天涯孤独かと思われたエドワードにはたったひとりの娘がいること、もう何年も会っていないことも明らかになる。
カーターの妻からの「夫を返して」という電話に、エドワードはしゃれた策略を試み(これが彼らしくて、なかなかいいです)、二人の旅は終わる。エドワードのために娘との再会をお膳立てするのだが、それはエドワードの逆鱗にふれ、ケンカ別れのようになってしまう。
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グッときたのは、カーターの死後、エドワードが別れた娘に会いにいくシーン。娘は優しく父親を迎え入れ、彼にかわいい女の子の娘をひきあわせるの。エドワードはかわいい孫にキスをする。「棺おけリスト」に書き入れたときカーターに笑われた「世界一の美女にキスをする」、こんな形で達成できたんだね。
ラストシーンはおとぎ話の真骨頂? エドワードの死後、二人の旅につきあって世話をした若き秘書がエベレスト?と思わせる雪の山のピークにたどりつき、雪にうもれた箱の中に骨の入った缶を入れる。中にはすでにカーターの缶が入っていて、2つの缶がそろう。「棺おけリスト」に書き入れてかなわなかった「荘厳な景色を見る」を彼らは死後ちゃんとかなえたってことなのか。
▼二人の名優で
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン共演なら、なにもおとぎ話じゃなくても…なんて思ったりもしたけれど、でも交わされる言葉の深さや遊びや、きっちり敷かれた伏線のレールに、すっかりはまってしまった(情けないけど)。こういうの、「うまい脚本」とでも言うのかもしれない。
邦題はね、例によって「ん?」な感じだけど(だって、そのタイトルだから「最高の人生ってなんだろう」が映画のテーマだって誤解しちゃう)、「棺おけリスト」っていうわけにはいかなかったのかな。「棺おけリスト」、ちょっとドキッとして悪くないと思うけど。
二人はとてもチャーミングです。モーガン・フリーマンらしさ、ジャック・ニコルソンらしさっていうところをいやがる人もいるだろうけど。冒険はないけど、「the most 適材適所」。
グダグダといろいろ書いたけど、でもおもしろかったし、「やられたな」と、私は満足だったのですが。
【追記】
ちなみに初めてジャック・ニコルソンを見たのは小さな映画館で上映されていた「ファイブ・イージー・ピーセス」。そのときは、主演の俳優が誰かなんて知らなかったんだけど。
このときの衝撃を今でも覚えている。放浪の末に立ち寄った家で、車いすの父親に自分の心情を話すシーンは圧巻だった。私の青春の一作!
「カッコーの巣の上で」は、エンドロールが流れたあとも立ち上がれないくらいの衝撃を受けた。
どちらの作品ももう一度見たいけど、あのときの衝撃のかけらも感じられない大人になっていたらどうしよう、なんて思って、怖くてDVDをレンタルできないワタシです。
話はまったく変わりますが、相変わらずヘビーローテーションです。
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このブログのあちこちで触れていますが、DVDの音源のCDがすごいことになっているのです (なかなかDVDを見る時間がない人には、マジでうれしい初回盤です)。
できたら、「スピッツってさわやかよね~」「へ~、ロックバンドなんだ~」という方にぜひぜひ聴いてほしい (なんて宣伝してどうするんだ!なんですけど、言わずにいられなかったので)。