2023.11.02(木)
昨日は午前中に母の面会。
まだ「一人で」という制限付きなので相方は行けない。
必ず「○○さんは元気?」と尋ねてくるので、そのうち二人で行けたらいいんだけど。
母はすこぶる元気で、またまた「こんなに元気で、私はいったい、いくつまで生きるのかしらね~」といたずらっぽく笑う。
以前はそういうところを素直に受け止められない部分があったけれど、今は自然に一緒に笑えるようになっている。私も変わりました。
毎週土曜日の朝に、拡大コピーした1週間分のテレビ欄と手紙を届け、私たちはここにいる、近くにいる、と母に伝えているのがルーティンだ。
でもときどき思う。母の本心を私は知っているのか、と。
もともと小さなことは自分で処理して頑張っていたけれど、少しでも自分で受け止めきれないことがあると、すぐに私に訴える人だった。だから、今は本当に、母の言葉どおり、「なんの心配もしなくてすむから、今は本当に楽。みんなやってくれるしね」なのか。
私がこれから歩くであろう道を、母は進んでいる。想像はできても、もちろん未知のエリアだ。それに当たり前だけれど母と私は違うから、無駄な想像かもしれない。
そういうことをつらつら思いながら、色づいた木々の下を歩いて帰る。
母は本当に死を考えることはないのか、あのとき転倒しなかったならと悔いることはないのか、今の暮らしを不満に思うことはないのか。
こういう話を誰かとするのは難しい。相方は聞いていてくれるからありがたいけど、「息子」としての感覚はちょっと違う。
同世代の友人はすでに親を見送った人ばかりで、もう過去のこととして捉えているのだろう。たぶん親の気持ちを想像する必要がないし、思い出で片づけられるのかもしれない。
別に必要に迫られて母のことを考えているわけではないし、そこまで親思いではないけれど、なんとなく、臨場感のかけらを感じつつ、親のことを誰かと語りたくなることがある・・・というだけの話。
いつも情報をくださるyagamiさんが教えてくれました。
昨夜の『相棒』で、彼氏からDVを受け、陣川さんから思いを寄せられる女性を演じたのは、生越千晴さん。スピッツのアルバム『見っけ』のジャケットのモデルさんです。
わが家では陣川さんのお決まりの泥酔ぶりに大いに盛り上がり、まったく気づきませんでした。
そういえば、番組のHPの相関図によれば、角田課長、いつのまにか警視に昇進していた!
ちゃんと昇進試験を受けていたんだな。以前は右京さんと同じく警部だった気がするんだけど。
10月31日の『朝日新聞』に寄稿された、ご自身もトランスジェンダーとしてカミングアウトされている、哲学者の三木那由他さんの文章が心のどこかを刺激した。
coming outはもともと「coming out of the closet」(クローゼットから外に出る)を略した言葉だそうだ。つまり、カミングアウトとは、「クローゼットに閉じこもっている状態から外に出るという比喩表現」なのだそうだ。
最後に、こう書いている。
「この文章を読んでいるあなたは、もしかしたらカミングアウトしていない性的マイノリティーかもしれない。だとしても大丈夫、無理をしなくていい。カミングアウトはとても大変なことで、みんながしなくてはならないわけではない。準備ができた人が、準備ができたときにすればいいのだ。あなたは、もしかしたらカミングアウトしている性的マイノリティーかもしれない。だとしたら、あなたが私と同じようにそれを経験しているかはわからないけれど、私はあなたと一緒にクローゼットの外にしがみつくつもりでいる。
もしかしたらあなたは、性的マイノリティーではない人かもしれない。だとしたら有名人であれ、友人であれ、家族であれ、誰かあなたにとって大事な人が性的マイノリティーとしてカミングアウトした時には、クローゼットの外にいようとするその人のそばで一緒に立ち、その手をつかんでほしい。その人はきっととても怖い思いをしながらそこにいて、あなたのことを必要としているのだから。」
大げさなことではなく、寄り添うことだけでも意味があるのだとしたら、なんとなくうれしい。
それでも、対応に決まりはない。八割がたの人が心地よいと言っても、「私は違う」ということもあるだろう。そのあたりのことは個々の想像力を発揮させるしかない。それがきっと「人」としての技の見せどころだ。
そうやって、いろんな意味での、いろんなカテゴリーの中でのマイノリティーの人と付き合っていきたいし、私がマイノリティーとして存在する場ではできれば健やかに生きていきたい。
先日、身近な知り合いが、ごく自然に、10年前にカミングアウトした同期の話をしていた。
あのとき私が話をきいてから、長い時間が流れた。
久しぶりに同じ職場の同僚になって、「もともとすごく仕事がしやすい相手なんだ」と笑っていた。
この人の、少々天邪鬼で、ときどき口が悪くて、でも底の部分で生き物に優しい大らかさに、私は何度救われただろう。
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