■大人ができることは?
「女王の教室」Special
3月17、18日 21:00~23:00
教師・阿久津真矢がどんな軌跡をたどって、今の教師像を築いてきたのか。その過程が明かされた「女王の教室」。
昨年の連続ドラマのときから、ストーリーとしてのおもしろさ、真矢への興味、子どもたちのドラマにひかれ、久しぶりに「つづきが楽しみ~」な気分を味わわせてくれた。
天海祐希演じる真矢のかすかな表情の変化を読み取る能力を、視聴者は問われていたのかもしれない。
今回のスペシャルでは、教師像、母親像がステレオタイプ化されすぎていたような気がしないでもないけれど、現役の中学教師である知り合いが「驚くような親や同僚があるものよ。アタシも染まっているかもしれないし…」と言っているくらいだから、なまじありえないことではないのかも。
優しいことは大切なことだし、優しい人に出会えることは人生の安堵のときでもあるけれど、でも人に優しいとは?と考えると、なかなか回答がでてこない。ただ居心地がよいだけの優しさにだまされて、そこから飛び立つことを忘れてしまうこともある。
人にどう思われるかは関係ないよ、そう思って誰かのために生きることはそうたやすいことではない。真矢はそれを貫いた教師だったのだな。そのためにあらゆる子どもの情報を手にいれ、細かく計画を練って子ども達を導こうとした。
今失われてしまった大人の壁になることで、甘くない人生や生きることそのものを示そうとした。
きっといろんな大人がいて、子どもはそこから勝手にさまざまなことを得たり選ばなかったりして成長していくんだろう。でもたぶん今は、大人像のバリエーションが今は少なくなってしまったのか。おせっかいだったり、甘かったり、意地悪だったり、嘘つきだったり…、そういう人がいればいるほど、子どもは賢くなれるのに。今は優しいか、危険か、その両極端になりつつあるのかもしれない。あ、そうそう、それから無関心、身勝手…(なんだ、やっぱりいろいろいるじゃん)。
子どもに対して、大人は何を言えるのだろう。真矢のように命や生活をかけて子どもを守ることは並みの大人にはなかなかできないけれど、でも、できるとしたら、どういうことなのだろう。
そういうことを今考えています。そういうことを考えつつ、うーん、かっこいい大人になりたいと、不遜なことを思っています。
★追記★
それでも真矢先生は和美という女の子がいなかったら、あの学校で自分の教育方針を貫けなかったかもしれない。
和美が自分に向かって、「幸せって、いろんな形があると思う。だから、ここにいる人はみんな幸せになると思う」と言ったとき、この子を標的に選んで厳しいことをしたり言ったりしたことが間違っていなかったと、そう思ったのではないだろうか。自分が以前に子どもたちに向かって言ったことと同じことを和美が自分に向かって言ったのだから。
何かがあったとき、どうしたらいいのかわからなくなったとき、和美にもあの男の子にも、来る場所がある、というのがステキだ。別に優しい言葉をかけてくれるわけでもないし、慰めてくれるわけでもないのに。キツイ言い方をされても、冷たい口調が返ってきても、この先生は信じていい…、そう思えるんだろう。
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