<原題> 「FAHRENHEIT 9/11」
この映画の標的は、ジョージ・W・ブッシュ大統領とその政権、そして米メディアにも矛先は向いているとのこと。
9.11後のメディアは偏った報道ばかりで、急激に視聴率を伸ばしたフォックス・ニュース・チャンネルなんて、まるでブッシュ政権の広報機関のようだという。
こんな風潮に対抗するためマイケル・ムーア監督は、メディアが報じなかった映像のみで「華氏911」を作った。
ジョージ・W・ブッシュ大統領の再選阻止を最大の目的に製作したドキュメンタリー。
その内容から、全米配給予定だったミラマックスが親会社のディズニーからの政治的圧力で配給を拒否、ライオンズ・ゲートから全米公開されて興収No.1ヒットを記録したという経緯も注目を集め、ドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録。
2004年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。
「政治は受賞に何の関係もない。 単に映画として面白かったから君に賞を送ったんだ。」とはカンヌ審査委員長、クエンティン・タランティーノの言葉。
★★★★★ たくさんの人に見て欲しい映画の一つ。
□HPhttp://www.kashi911.com/
□マイケル・ムーア 日本公式ウェブサイト
・「カリフォルニア在住の映画評論家、町山智浩さんのサイト」 詳しく映画内容について紹介されています。
・海外ジャーナリストのためのマイケル・ムーアインタビュー
是非。
ムーア監督の言葉
「これはドキュメンタリー映画ですよ。
だから「事実」として提出している部分は100%事実です。
そのために事実チェックのプロも雇ったし。
もし事実でないと言うなら裁判でも何でもすればいい。
ただ、僕は「事実」を提出した後、その「事実」を「事実」と僕なりのやり方で結びつける。
「事実」を基にして、僕の「見解」と僕の「理論」を提出する。
この映画は「事実を基にした僕の見解」なんだ。
「見解」だから僕は信じてるけど、実は間違ってるかもしれない。
でもどんな「見解」でも言うのは自由だ。
映画や小説に作者のメッセージを込めるのは当たり前だろ。
それを観て同意するかどうかは観客の自由だ。ディベートすればいいんだ。」
ドキュメンタリーだしネタバレも関係ないかな?
知識不足で知っているようで知らなかったことがたくさんある。
マイケル・ムーアは命を脅迫されながらも、人が意味なく死んでいくのをなんとか止めようとしている。。。
歴史上、多くの宗教家や哲学家や芸術家やロックミュージシャンが戦争に反対してきたけれど、実際に止めることに成功した人はどれほどいるのだろうか?
・ブッシュはテロの危険性を警告されながら何もしなかった。
・テロが起こったとき、さっさとアフガンを全力で攻撃し、ビンラディンを拘束すべきだったが、やらなかった。
・まず、ビンラディン一族は長年の仲間なので逃がしてしまった。
・ハイジャッカーはサウジ人だったが、サウジ王室も仲間なので調査を中止した。
・そして無関係なイラクを攻撃した。利権のために前から準備していたことだった。
・イラクに勢力を割きすぎたせいで、アフガンではいまだに戦乱は収まっていない。。。
2000年の大統領選挙ではフロリダ州知事のブッシュ弟が、
過去に犯罪歴のある5万8千人の票を無効にした。
憲法上は前科があっても選挙権は剥奪できないがブッシュ弟は独断でそれをやってのけた。
実際は無効にされた9割は一度も有罪になったことがなかった。
しかも無効にされた票の54%は黒人かヒスパニックで民主党に投票していた。
かくしてフロリダではわずか500余票の差でブッシュが勝ち、彼が大統領になった。
下院の黒人議員たちは抗議して票の数え直しを求めたが最高裁はブッシュの勝ちを決定。
こういう前歴があるからブッシュたちが再選のために、また票の操作をする可能性がないとは言い切れない。
石油資本(ハリバートン社)、ネオコン一派、軍需産業(カーライルグループ)、との深~~~い関係、
テロ対策を掲げながら無防備で危険なアメリカの国境、
アメリカの階層化した社会の問題、
失業率の高い地域の若者が学費稼ぎのために軍に入隊している実体、
アメリカ軍兵士のイラクでの幻滅や失望、などなど。
詰め込まれているエピソードには大事なものがたくさん含まれている。
大根役者ブッシュの「空白の7分間」のうつろな名(迷?)演技も印象に残ります。
ブリちゃんのアホっぽいところも、なんちゃってマイケルも。。。 ┐(´Д`┌ ふっとぶわ。
ただ本当に再選阻止が出来るのかはわからないけれど。。。その判断はひとりひとりにある。
イラン戦争で息子を失った母親の言葉。
「私は息子を失ったが、なぜ、何のために死んだのか分からないのが悔しい」
愛国心から戦争賛成だった彼女も、政治家の金儲けの道具として死んでいったとして納得できないと嘆いている。
とりあえず、ブッシュはオイルマネー、兵器販売、オイルマネーに深く深く深く関わっているというのは理解できた。
戦争をしかけて儲ける人たちに政治をまかせてはいけない。
ブッシュを指示する小泉首相に日本の政治を任せているのは私たち。。。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」のように銃社会への批判をわかりやすく描いてはいないので、
私なんて字幕を追うので精一杯なところが多く、もう一度見てもっと内容を理解したいなとは思いました。
お得意の「突撃取材」も後半に少しあっただけ。
その部分すら、有名人になりすぎてしまったせいか「突撃取材」になっていなくて、最初の1人以外は相手に軽くあしらわれているだけに見えてしまった。
皮肉たっぷりの冗談をもっと見たかったけどね(苦笑)
ちなみに華氏温度、
「1気圧での水の凝固点を32度、沸点を212度とする温度目盛り。」
映画のタイトルは、アメリカのSF作家ブラッドベリが書いた「華氏451度」という小説から取ったもの。
華氏451度(摂氏で言うと220度)は紙が自然発火する温度だそうで、禁書・焚書の問題というテーマを扱った小説。
ムーアはインタビューで「華氏451度は本が燃える温度、華氏911度はアメリカの自由が燃える温度だ。」と語っています。
2004年9月4日(土)ヴァージンシネマズ市川