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とても暑い日だった。水分を補給すればするほど滝のような汗となって体外へ逃げてしまう。しかし、この炎暑の日中でさえも時折サワサワと吹く風に秋を感じ取るのはたやすい。汗だくの体に冷ややかな秋風を受けながら、「ああ夏も終わりだ」としみじみ思った。
裏庭の二つだけのカボチャもの実も成長を諦めたようだし、ひまわりなどは気の毒なくらい年老いてしまった。そう言えばセミの鳴き声も随分少なくなったようだ。アサガオの花も小ぶりになってツルの先っぽに登り詰めてしまった。それでも、確かに色は濃ゆさを増し小粒ながら澄んで落ち着いた心持ちで咲いている。
おっとー、我が里山の夏の終幕を飾るに最もふさわしい風景を見つけた。畑に置き去りにされた数個のスイカ。この夏は雨の降らない日がなかったのでスイカの出来が悪かったのかもしれない。スイカとしての役目を果たさぬまま、今だ枯れヅルに未練がましくしがみついている。いやいや、律儀に運命を共にしている。
夏の終わりを探すのはもうやめよう。少々憂いを覚えてしまいそうだ。