ブログがすっかりご無沙汰になってしまっていました。
何をしていたかというと、
全体技術研修会に参加してました。
10日間の間に楮一貫分の紙を作るというもの。
研修生それぞれに乾燥楮一貫分の煮熟した楮を配られ、ちり取り後紙を漉き、乾燥し、選別までするもの。
この会は、基本的な事を大事にしています。
各々が自分の苦手な所を克服しようと真剣に取り組んでいて、そのシステムが素晴らしいと、三つの他産地の方が見学に来たり、見本として紹介されたりしています。
これには、指導者や市の担当者の熱い思いがあってこそです。力加減や目線、水の動かし方タイミングなど、毎回違う技術、マニュアルだけでの指導というわけにいかない難しさ。
それを形にし、習熟度を考慮してわかりやすい方法を考えてくれています。
普段はそこまでいい紙を漉かない人も、この全体研修で改めて技術を見直します。
今年は、というと、毎日毎日雨が続き予定が狂ってしまいました。
雨の日はとても暗く、ちり取りの精度が下がります。また天日干しのため、せっかく紙を漉いても天気にならないと紙を干せず、漉いた紙を重ねた紙床がたまり、冷蔵庫いっぱい。
作業は前日や当日の天気次第で決まるという中々の大変さでした。
また、別でこの全体研修の時にしか作れない紙、木灰で煮て手打ち叩解した紙を作ります。
これは手の空いた人がちりとりし、その後手打ち。この手打ちするための木槌が重くて重くて。
90歳を超えるレジェンド(名誉会長)は細い腕なのにリズムよく軽ーくトントン叩きます。
それを真似しようとしても、疲れて仕方ないし左ばかり疲れる。力加減が違うんだろうなあと、腕がヘロヘロになるほど続けたら、力が抜けていい感じに。コツを掴めました。
待ちに待った晴れ!駆け足で紙干し。
太陽が出てる間だけしかできないので、
20キロ近くある板を持って走り回るのです。
出来れば二人分干そうと、トイレも休憩もありません。(これは職人の意識として当たり前なのです)
レジェンド(名誉会長)は言います。
明るい気持ちで漉けば明るい紙になる、
楽しい気持ちで漉くことが大事だと。
ほんとにその通りで、迷いがあると繊維の動きに迷いが出て、明るい気持ちで元気に漉くと、スカッとした紙になります。
いい紙を漉くために
いつでも明るい気持ちでいたいものです。