絵本と紙芝居の違い

みんなおなじ でも みんなちがう』奧井一満(福音館書店)という絵本をご覧になった方も多いでしょう。それに例えて言います。


● 同じところ・・・
 絵を見せて語るところは、同じ。特に集団相手に使う時は同じ使い方をしている。
「絵を見せて語る」というのジャンルのなかに、「絵本」「紙芝居」があります。前述のかがくのともの本だとアサリのページがありますが、この場合はアサリとハマグリが混在しているようなもので、違う縞模様でそれぞれ無数にあります。柳城短期大学では「紙芝居の読み聞かせ」という立場で研究が始まっていますので、紙芝居を絵本のように朗読で読む「読み聞かせ」も並び存在しているということです。
 柳田邦男さんは、集団相手に絵本を読んでいるのを見て「絵本紙芝居」などと書かれています。メディアリテラシーとでも言えばいいのか、目的のために手段を選択する時代に来ているので、差別意識の無い方はすでに自由に選択しています。

● 内容や形式から受ける違いについて・・・・
 もちろん、1枚1枚離れているか、綴じてあるか、という違い。
 それから、画面やそれをつなげる構成の違いですが、
  右から左に動いてアップやロングがある「劇画型」、1枚1枚が独立して視点が変わらない「漫画型」、があります。これらは、絵本の構成にも同じものがあります。

● いろいろな方が違いを本に書いておられます・・・・・

① まついのりこさん・・・『紙芝居共感のよろこび』(童心社)より
 絵本は「読み手も子どもも入っていく」、紙芝居は「作家の世界が出ていってとびだす」

② 堀田穣さん・・・・・・『紙芝居をつくろう!』(青弓社)
絵本は「自立している」、紙芝居は「依存している」。絵本はそれだけで完成したものであり、紙芝居は、例えば人形劇の人形がそこに置いてあるということで、命が吹き込まれていない状態。
 
③ 鈴木常勝さん・・・・・・『保育に生かす紙芝居』(かもがわ出版)
P120に中川正文さんの言葉として、
「絵本の文章は・・それ自身完成した様態をもつものなのである。・・・読解力のない子どもたちに対しては誰かが“読み聞かせ”をしなければ伝達できないのだが、・・彼らのイメージを刺激するだけで、読み手自身の“演ずる”という恣意的なものが加わってはならないのである」
「完成品である絵本は“伝達する”、紙芝居は相互交流作用の中で“創造していく”ものだ」
そうです。続けて紙芝居について、
「演技者は対象に即して懸命に、ご機嫌をとりむすぶ。受け手である子どもたちが反応する。」・・絶えず変容していく「芸能」。
つまり完成している絵本は「芸術」、紙芝居は「芸能」、だということ。芸術が上で芸能が下だというのではないこと。


つまり、「みんなおなじ、でもみんなちがう」ということでいいのではないでしょうか。
 違うところを見つけて「違う違う」とせっせとより分けることで、自分の研究者としての存在を示したいですか?・・・、そういう段階から、個性を認めて一緒にやっていく・・・へ、進みたいものです。
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