「不公平だ」というご意見ありがとうございます

図書館講座受講生との交流会で、意見をいただきました。ありがたいことです。
なかなか新しい反論のようなものが聞こえてこないので、不安でした。

聞き手選書に対する意見で、「クラスごとにプログラムが違うのは不公平ではないか」「もったいない」というような意見をいただきました。

他の団体さんでは、学年ごとに同じプログラムを話し合いで作っていって、それに読み手が対応する場合が多いですね。そして、終わったとたんに、「あ~やっと終わった」などという子どもの声が教室から聞こえるのですね。
 実は、昔も書きましたが、私たちも10年以上も前は、それと同じようにしていました。もちろん同じように、不愉快そうな子どもの様子があり、まるで睨みつけるような子どもの視線を感じていました。で、私たちは、それを問題視して何とかしようと、聞き手選書を部分的にはめ込んだのです。
 今は、私たちが恐縮するくらい、子どもたちが嬉しそうに迎えてくれます。じゃあもう一つ読む?というと「イエィ~」と歓声が上がるクラスもあります。初めて聞き手選書を試した年の、子どもの喜びの反応を、私は覚えています。

では、「不公平」「もったいない」について、よくj順序立てて考えてみます。
「不公平」という見方の底には、「よい本やプログラムや上手い読み手がいる」「劣った本やプログラムやヘタな読み手がいる」という前提がありますよね。優劣を決めて比較するから、公平でないと感じる上下関係が生まれてきます。
 それとは別に、こんな考えはどうでしょう。比較しない、という方法です。大人がいくら良いと思っても受ける子ども側がそう思うかどうか、まったく不明だと思ったことはありませんか。また、読み方についても、読み方がうまいからよい・下手だから悪いとか、果たしてそういうことが本を手渡すときに必要なことだろうかと疑問視したことはありませんか。おはなし会は、コンクールや発表会ではないはずですよね。
 比較して上下を決めることをしなくなると、クラスごとにどんなメンバーがおはなし会を出前しても、「良い悪い」はなく、従って不公平さは感じなくなるのです。
 スタッフが状況判断をする材料と、仲間を信じる気持ちがあれば、エキサイティングな、かつ、本の持ち味がつたわるおはなし会はできる、という考え方でやっています。まるで道具を持って冒険の旅に出るようなものです。「冒険」しながらおはなし会をしているという私たちの様子が、子どもたちの冒険心をくすぐるという様子も、あります。子どもは「冒険」が好きですよね。
 この辺は見解の相違かもしれませんが、あとから届く子どもたちの感想を読むと、そう思えるのです。気に入った本はとてもバラけています。強いて言えば、体験型として子どもに声に出して読んでもらった本に反応が多いです。それから、あまり上手くなく読まれた本がお気に入りになっていることもあります。長い間の経験で、そう思ったことは、皆さんありませんか?

 もちろん、いいチャンスだから、良い本を届けたいと思う大人の心に私も同感です。同様にスタッフめいめいが自分で思う良い本を提案しています。その上で、良い本は受ける側が決めるものだという民主的な立場に立つと、肩の力が抜けるのです。大人の、「私たちは絵本が好き。限られた時間に駄作を聞かせるのはもったいない。無駄なく良い本を届けるの」とグイグイ押すような雰囲気があると、相手(子ども)は「引く」ものではないでしょうか。逆に「こんなのでいいでしょうか、あなたはどうですか?」とちょっと引くくらいの雰囲気で行けば、相手の気持ちは前に出てくるものだと思います。本とは一期一会、どのタイミングでどの本が子どもの心に残るかは、塞翁が馬のようでもあります。不愉快な気分で本を見せられても相手は受け入れてはくれない、ということを重要視した結果でもあります。

 




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