著作権と手作り

よく、手作り紙芝居の説明をするときに、絵本や、名作から作りたいという声を聞きます。
それは、著作物の翻案・改作にあたるので注意が必要です。
学校内で、生徒が学習のためにやるとか、先生が子どもに聞かせるために作るとか、そういうのはいいみたいです。
でも、それ以外は結構ややこしい。私たちのようなアマチュアは入場料をとることは無いけれども、それでもややこしい。
よく考えると、自分が、出版社や作家に奉仕してPRするような役割を担っていることになる。いろいろ学ぶことが多いでしょうが、自分のものにならない。
暗誦型ストーリーテリングをやるということは、これと同じことだなーと、以前から思っていました。一つの本や話をそのまま立ち上げても、自分のものにならないで、本に奉仕するようになっていました。
図書館事業だから、「本を借りてもらうためにやるんだ」という目的があるのでしょうが、目的そのものも動いていないか、という気がします。

なにはともあれ、著作物利用の手引きがあるので、それを見て、そのようにやればいいですね。

 簡単に言えば、絵本や名作を元に作るのは法律にひっかかることが多いから やめたほうがいいでしょうということです。作家の死後50年というくくりがあるので、宮沢賢治などの作品は使うことがあるでしょうが、作品をよーく読むと、朗読だけにしておいたほうがいいという感じがします。あの文体があってこそ作品として愛されている面が大きいでしょ。
 出版社は、権利を買って翻案して出版販売しているわけですから、名作紙芝居をしたければ出版されたものを使えばいいと思います。ストーリーがおもしろい「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」などは、ストーリーを楽しむつもりでやるといいですね。「やまなし」などは完全に詩の世界のように思えるので、紙芝居の言葉で聞いても意味不明なように思います。
 自分で作って、自分の家で適当にやるのならばいいんだそうですが、つい、幼児サークルとか公民館とかでやりたくなるでしょ。自分の経験で言っています。

 それならば、地域の民話で作ればいいのに、と思います。聞き取りさせてもらえるお年よりも数少なく、民話集から作るのであれば、紙芝居のセリフ面の最後に参考文献:何々と、なるべく複数、挙げると間違いないでしょう。
 参考にするわけですから、文章そのまま使わずに、絵に合わせて自分で言葉を組み立てなおせばいいですよ。主人公主義といって、お話は主人公主体に展開すると分かりやすいので、主人公を決めて、その人(その物)がどうなって、こうなって、脇役が登場して・・と組み立てなおすのです。

 風景を精密に描くのでなく、たとえば折り紙を貼った絵のような、省略されたごく簡単な画風のほうがインパクトが強くて遠目が効きます。残酷な場面も「紙人形のように」現実味のない構成にすると、あっさりと物語だけ分かります。
 似た話で、いくつもの変わったモチーフがくっついたり、微妙に違ったりしている場合は、「参考文献を元に、自分で創作した」と言ってしまえばいいです。昔から人々はそうやってきたから、微妙に違った話になって残っているのでしょう。
 長くならないように、5分~10分程度で終わるようにしましょう。
話をふくらませて、例えば主人公を現代の子ども太郎君にして、太郎君が過去のその時代に行ったらどうなったか、というような筋立てにしてもいいし。
 
 なるべく正しいものを残しましょうという思いのせいでみんなが緊張して、「違うっていわれたらどうしよう」みたいに弱気になっている。でも紀行文や記録集ではないのです。物語を楽しむ立場ですね。
 違うことを楽しむという気持ちに、世の中が動いてきているから、できる範囲で一生懸命探して調べて、今の子どもにわかるように作り変えていかないと、そこで消えてしまいます。「自分の知ってる話はこうだ・・」という人がいたら、一生懸命聞いて自分のものにしましょう。みんな、話したくてたまらないので、それをチャンスにして次の参考にしましょう。

 物語でなくても、たとえば地域の手遊び紙芝居などはどうでしょう。手のイラストだけで画面を構成していきます。
 えかき歌も「誰のものでもない」という立場ですので、私たちは今作っている最中です。昔話も、おなじこと。
 数人で一緒に作るならば、部屋の確保などそれに関係する雑用的な仕事があります。グループ内で人間の上下が生まれないように、協力してやりましょう。
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