純白の帆をぴちっと張り

児童サービス論というタイトルの本を2冊読みました。
『児童サービス論』JLA図書館情報学テキストシリーズⅡ11堀川照代/編(日本図書館協会)
『児童サービス論』改訂版 佐藤凉子/編(教育史料出版会) です。

後の方の本の中に、懐かしい言葉がありました。「ボランティアの風を受けることで、純白の帆をぴちっと張り、<自由と平等>の港を目ざすことが不可欠である。私はそういう図書館員を目ざしたい。」(大塚まゆみ「公共図書館ボランティアー伊万里市民図書館」『図書館ボランティア』)

この言葉を私は、いつ、どこで、読んだのかそれともどなたかの講演会で聞いたのか、よく覚えていないのですが、記憶に残っています。

 読み聞かせボランティアは「普通のボランティアと違う」とされていました。つまり、図書館の手足となって図書館の指示の通りに動くのが良いボランティアだったのです。きっと今も、習ったとおりにそう思われている方も多いことでしょう。
 実は、それは、例えて言えば「どっちへ吹けばいいでしょう」と常に帆に尋ねてばかりいる風のようなものです。そのため図書館は(市も県も)ボランティア養成講座を異様に時間をかけて行いました。県では7コマもある。風を徹底的に教育してから帆にとって都合の良いように吹かせようという考えなのだと思います。何年経っても「どんな本がいいでしょうか、どんな読み方、どんなやり方がいいでしょうか」と図書館員に尋ねようというボランティアが後を絶たないのはこんなこともあるでしょう。

 講座は、入門・スキルアップとも、実行委員会形式ではあるけれど、実行委員会そのものが(悪気はないんだろうけど)権力者になっている場合も想定されます。なんとなく指導者気分って気持ちいいものね。私もときどき揺れる自分の気持ちと付き合いながらやっています。
 「市民の図書館」という言葉も「みんなの図書館」に取って代わろうとしています。「市民」という「近代的思想にまみれた一部の高慢なリーダー」が引っ張る図書館から、みんなの図書館になっていってほしい。

 改革は遠いところ弱いところ・・・もう一つなんだったけな、そういうところから始まってやがて本丸に近づこうとしているのかも知れません。

 
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