図書館・語り・紙芝居・集団相手の絵本よみ・ボランティアなどについて書きます。
絵解きボランティア
かさこじぞうを 語る
ひとづてに、「2年生の教科書にある『かさこじぞう』を国語の研究授業で語って欲しい」という依頼をいただきました。ちょっと迷ったけれど、やってみることにしました。教科書は東京書籍です。
以前、別の小学校の読み聞かせ訪問時に、教科書とかぶらないようにしようと、教科書に掲載されている物語を調べたことがあり、そのときに笠地蔵の話もあることに気づきました。瀬田貞二の話と比べると、物語の筋だけでなく、演劇のように人間が生き生きと描かれていることに気づいていました。
今回、ネットで検索したら、新潟青陵大学の原田留美先生が論文を書いていることがわかり、印刷して読み、「やっぱりそうだな」という感を深くし、頑張ってやってみようと思ったのです。
昔ばなし大学では昔話の特質の説明をした延長上に、「そうでないものはだめだ」みたいな雰囲気になることが多かったのです。でも原田教授の論文の中で「一般的なあり方から逸脱を意識して再話を行っていたのではないか」という部分があり、その通り、と思いました。幼児にはシンプルな昔話造型の瀬田版、小学生には人物の内面まで掘り下げた岩崎版という、目的に合わせた使い方も納得のいくものです。人間を描くことによっておもしろさが深まり、次の児童読み物や小説への読書につなげていく、というのもとてもよくわかります。
語り口は、テンポを考えながら、~~~だと、という伝聞型に語尾を変えたところが多かったです。その他に、接続詞が少なく唐突に文が始まる部分が多いと思われたので「そうするとな~」などと入れました。
また、説明が不足していると思われるところを補いました。具体的には、
●じいさまが傘が売れずにあきらめるところ、「だれも振り向いてくれません」と「しかたなくじいさまは」の間ですが、続けてしまうと「すぐあきらめた」みたいなので、「じいさまはしばらくそこにいたんだが」などと入れました。
●帰り道の描写「ひどいふぶきになりました」と「ふと顔を上げると」の間、続けてしまうとじいさまの雪道の苦労が分かりにくいので「じいさまはこーやって(手で顔を隠すようなしぐさ)歩いていたんだが」などと入れました。
他にも、自然に言葉を変えた所は幾つかありますし、本番で流れに乗って変わったところもあったかと思います。
事前に、先生から指導のポイントの説明を受けました。重要なことは、「語りは読み聞かせと違うということを理解する」「子どもが語ってみたいという気持ちになる」「語るために、文章を深く読み込む」ということでしたので、自分の目指す方向と合っていると思い、安心して語れました。
人物により声を微妙に変えるところ、リズムに乗って歌うところ、人物の性格や気持ちが分かるような言い方も、練習する時や紙芝居実演の時に自分で造型することが多く、慣れていました。語った後に、子どもたちが気づいたことをを発言する時間があったのですが、私が工夫したところをしっかり見ていて聞き取っていて、それを発言していました。2年生でこんなに分かるのか、と驚いています。「ああいうふうに語ってみたい」という意見もあって、とても嬉しかった。
本番では「もちっこやいて」の手遊びをやってから語りました。本来、「・・・うまかろう♪」でほっぺたをたたくのですが、「赤ちゃん向けにはそうするんだけど、みなさんは2年生だから」と、グーと親指を上に上げる指の形に変えてやってみました。
この授業が1回目で、2・3回目は子どもが覚えて語る授業でした。それぞれが好みの部分(数行程度)を選んで覚えます。各自の紙には、そこに自分はどのような工夫をしたか、どう感じたかを書き込んでありました。それを説明してから「では聞いてください」と語り出します。絵本の会で他に2名参加し、合計3名が3グループにつきました。私たちが見に行かない時の方がのびのびと語っていたそうです。はい、すいません。
それにつけても思うのは、絵本の会のメンバーの聴く耳の確かなこと。それをうまくほめること。自分の言葉で説明することを難なくやっています。もしかしたら、私はそこが劣っているのかもしれません。これだけの人材があるのに、暗唱型でやってしまったために、迷い道に入ってしまいました。それもまた良かったかも知れませんが、他の団体の方々も、きっとそれだけの才能があるに違いないと思うのです。
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