図書館・語り・紙芝居・集団相手の絵本よみ・ボランティアなどについて書きます。
絵解きボランティア
口べたの紙芝居屋さんが住む町
2007-02-15 / 論文
口べたの紙芝居屋さんが住む町(1)
2007.2 石倉恵子
(2006年冬に書いたものを手直しした)
1 内容
紙芝居ボランティアを育成、普及させ、実演の場を広めたい。
箱型の舞台を乗せられる移動型スタンドや舞台つき自転車を普及させ、各種施設のフリースペースや公園など屋外でも使えるようにする。
2 表題についての説明
『街角の子ども文化』畑中圭一/著 (久山社)より引用。
昔、大阪に口下手な紙芝居屋がいて周囲が気をもんだが、子どもたちは自ら楽しい雰囲気を作り、場を盛り立てたという。芸が下手な方が子どもにとっては突っ込みやすく、気安く、共にあるという感じを受け、親も安心したのではないか。そんな紙芝居屋さんを今によみがえらせたい。一見弱いものや劣ったとされるものが生き生きと過ごし、権威者も弱者のお陰で成り立っているという構図が面白く表現されている。
3 提案理由
① 紙芝居ボランティアとして活動するうち、紙芝居は高齢者にとって身近で、飴を食べながら見たという記憶と常に結びつき、味覚や嗅覚、歯ざわりや人の体が触れ合う触覚に付け加えて、だみ声や拍子木の音からくる聴覚、絵の視覚、など、人の五感をすべて満足させるものだということに気がついた。
② 紙芝居屋はかつて社会の底辺で世の中の底ざらいをする人たちという認識をもたれていたようだ。今、近代主義からこぼれ落ち、底辺にいるという孤独感から、自分より弱いものを攻撃する人が増えた。だれでも分け隔てなく人とつながり、なお逃げ込める場所を提供したい。それは紙芝居屋として世の中に存在したり紙芝居を見たりすることができるということだ。人は皆、本来あいまいな不審者である。不審者として排除するより、あいまいな不審者として世の中に取り込み、必要とされる場所で活動してもらい、その人たちのお陰で安全な社会が作られていく、という発想をした。
③ 子どもはテレビゲームなどで人を攻撃することを知った。それが現実になる前に、紙芝居屋と丁々発止のやりとりをしてやり過ごすという経験を持たせたい。立派な大人になれと迫られる子どもの息苦しさや不安を、「この程度の大人もいる」と和らげたい。
④ 団塊世代やマンガ描き愛好家の居場所として、紙芝居を作り語る仕事を提案したい。自分の過去を振り返り地域を見直すプログラムである。若者とも交流し、地域に慣れない同士で影響を与え合えば良いと思う。語ることや作ることによる生涯学習的な要素も大きい。また、大きな設備投資に関係なく地域の活性化につながる。
⑤ 紙芝居は本来手作りで始まった。新潟県は、専門家が作り東京から出張してくる実演家に頼る大型紙芝居や、印刷紙芝居が主流だったが、市民が関わる手作りも共に栄えていかなければならないと考える。
⑥ 紙芝居の戦争協力を思い出し、不安がるむきもあると思う。しかし、今度は「官」押し付けの作品でなく、市民が作った手作りを、肩の力が抜けた人たちが実演することにより再び間違いをおこさないと思っている。
その時代の文化はみな戦争協力に駆り出されたという。ではなぜ紙芝居だけがそう言われ続けたのか。権威者にすり寄る家元制度や人と立派さを競うことから人間ピラミッド型の構造が生まれ差別が生まれる。究極の差別や、自分の文化だけが正しいという意識の押し付けが戦争であるとすれば、文学や語りは、なるべく価値観が分散し幅広く提供されるべきだと考える。
⑦ 閉じこもりがちな高齢者や室内ゲームに興じることが多い子どもが、屋外に出てくるきっかけになるかと思う。近くに寄り添って聞くことや基本的なしつけなど、お互いを受け入れる下地になることを願っている。拍子木の音が遠く聞こえることで地域の一体感を育てたり、防犯対策の一助にもなる。
⑧ 手作り紙芝居は決して立派な作品ではない。作品そのものが口べたであいまいで、そこに批判が集まると思われるが、自分たちのことはまず自分たちがつたないながらもなんとかしようという気持ち、その至らないものを育てようとする気風が街づくりの力になると思っている。
4 手作り紙芝居の例
地域の昔:伝説、昔話、風習、由来話、住人の記憶の断片、
災害や戦争の言い伝え
今のこと:スポーツチームの試合内容、ギャグ、コント、クイズ、
身辺雑記、個人の思い
自慢話:料理レシピ、お店・学校・行事など地域の話題。
自分の生い立ちや印象的な一コマ。
創作童話:空想物語、冒険物語、昔話の作り変え
詩をもとに:自作の詩や詩集から。自分が知っているわらべ唄・絵かき唄
(物語として出版されているものは出版社に確認すること。絵本の作り変えは不可。 サイズはB4の普通サイズに限定する)
5 参考HP
① 新潟かみしばいクラブブログアドレスhttp://blog.goo.ne.jp/kamisibai_2005
② 仙台市青葉区での実例
http://www.city.sendai.jp/aoba/soumu/info_box/kamisibai_1.html
ちなみに「口べたの紙芝居屋さんが住む町(2)」も用意中です。
内容は、「図書館での個別読み聞かせの提案」です。最後のところでちょっと迷っていて、5月以降に書くかもしれません。中央図書館ができるまでには何とかしようと思います。
「世代間ギャップ」については書くつもりですが、これから講座の準備と作品作りに力を入れますので、ご無沙汰するかも知れません。
自治会の仕事と、それから・・・新しい椅子カバーも作らなくちゃ。パソコン台に使う椅子ですが、そのカバーの、エプロンの結び目が当たるところが擦り切れてしまいました。
2007.2 石倉恵子
(2006年冬に書いたものを手直しした)
1 内容
紙芝居ボランティアを育成、普及させ、実演の場を広めたい。
箱型の舞台を乗せられる移動型スタンドや舞台つき自転車を普及させ、各種施設のフリースペースや公園など屋外でも使えるようにする。
2 表題についての説明
『街角の子ども文化』畑中圭一/著 (久山社)より引用。
昔、大阪に口下手な紙芝居屋がいて周囲が気をもんだが、子どもたちは自ら楽しい雰囲気を作り、場を盛り立てたという。芸が下手な方が子どもにとっては突っ込みやすく、気安く、共にあるという感じを受け、親も安心したのではないか。そんな紙芝居屋さんを今によみがえらせたい。一見弱いものや劣ったとされるものが生き生きと過ごし、権威者も弱者のお陰で成り立っているという構図が面白く表現されている。
3 提案理由
① 紙芝居ボランティアとして活動するうち、紙芝居は高齢者にとって身近で、飴を食べながら見たという記憶と常に結びつき、味覚や嗅覚、歯ざわりや人の体が触れ合う触覚に付け加えて、だみ声や拍子木の音からくる聴覚、絵の視覚、など、人の五感をすべて満足させるものだということに気がついた。
② 紙芝居屋はかつて社会の底辺で世の中の底ざらいをする人たちという認識をもたれていたようだ。今、近代主義からこぼれ落ち、底辺にいるという孤独感から、自分より弱いものを攻撃する人が増えた。だれでも分け隔てなく人とつながり、なお逃げ込める場所を提供したい。それは紙芝居屋として世の中に存在したり紙芝居を見たりすることができるということだ。人は皆、本来あいまいな不審者である。不審者として排除するより、あいまいな不審者として世の中に取り込み、必要とされる場所で活動してもらい、その人たちのお陰で安全な社会が作られていく、という発想をした。
③ 子どもはテレビゲームなどで人を攻撃することを知った。それが現実になる前に、紙芝居屋と丁々発止のやりとりをしてやり過ごすという経験を持たせたい。立派な大人になれと迫られる子どもの息苦しさや不安を、「この程度の大人もいる」と和らげたい。
④ 団塊世代やマンガ描き愛好家の居場所として、紙芝居を作り語る仕事を提案したい。自分の過去を振り返り地域を見直すプログラムである。若者とも交流し、地域に慣れない同士で影響を与え合えば良いと思う。語ることや作ることによる生涯学習的な要素も大きい。また、大きな設備投資に関係なく地域の活性化につながる。
⑤ 紙芝居は本来手作りで始まった。新潟県は、専門家が作り東京から出張してくる実演家に頼る大型紙芝居や、印刷紙芝居が主流だったが、市民が関わる手作りも共に栄えていかなければならないと考える。
⑥ 紙芝居の戦争協力を思い出し、不安がるむきもあると思う。しかし、今度は「官」押し付けの作品でなく、市民が作った手作りを、肩の力が抜けた人たちが実演することにより再び間違いをおこさないと思っている。
その時代の文化はみな戦争協力に駆り出されたという。ではなぜ紙芝居だけがそう言われ続けたのか。権威者にすり寄る家元制度や人と立派さを競うことから人間ピラミッド型の構造が生まれ差別が生まれる。究極の差別や、自分の文化だけが正しいという意識の押し付けが戦争であるとすれば、文学や語りは、なるべく価値観が分散し幅広く提供されるべきだと考える。
⑦ 閉じこもりがちな高齢者や室内ゲームに興じることが多い子どもが、屋外に出てくるきっかけになるかと思う。近くに寄り添って聞くことや基本的なしつけなど、お互いを受け入れる下地になることを願っている。拍子木の音が遠く聞こえることで地域の一体感を育てたり、防犯対策の一助にもなる。
⑧ 手作り紙芝居は決して立派な作品ではない。作品そのものが口べたであいまいで、そこに批判が集まると思われるが、自分たちのことはまず自分たちがつたないながらもなんとかしようという気持ち、その至らないものを育てようとする気風が街づくりの力になると思っている。
4 手作り紙芝居の例
地域の昔:伝説、昔話、風習、由来話、住人の記憶の断片、
災害や戦争の言い伝え
今のこと:スポーツチームの試合内容、ギャグ、コント、クイズ、
身辺雑記、個人の思い
自慢話:料理レシピ、お店・学校・行事など地域の話題。
自分の生い立ちや印象的な一コマ。
創作童話:空想物語、冒険物語、昔話の作り変え
詩をもとに:自作の詩や詩集から。自分が知っているわらべ唄・絵かき唄
(物語として出版されているものは出版社に確認すること。絵本の作り変えは不可。 サイズはB4の普通サイズに限定する)
5 参考HP
① 新潟かみしばいクラブブログアドレスhttp://blog.goo.ne.jp/kamisibai_2005
② 仙台市青葉区での実例
http://www.city.sendai.jp/aoba/soumu/info_box/kamisibai_1.html
ちなみに「口べたの紙芝居屋さんが住む町(2)」も用意中です。
内容は、「図書館での個別読み聞かせの提案」です。最後のところでちょっと迷っていて、5月以降に書くかもしれません。中央図書館ができるまでには何とかしようと思います。
「世代間ギャップ」については書くつもりですが、これから講座の準備と作品作りに力を入れますので、ご無沙汰するかも知れません。
自治会の仕事と、それから・・・新しい椅子カバーも作らなくちゃ。パソコン台に使う椅子ですが、そのカバーの、エプロンの結び目が当たるところが擦り切れてしまいました。
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