東銀座の香十庵にて。
ご一緒した着物友TKさんと、今回の体験講座で
香道にまつわる楽しいお話を聞かせてくださった
「香文化の伝道師」稲坂良弘さんとスリーショット。
お軸には「香十徳」と題し、あの一休さんによって
「感覚が研ぎ澄まされ、身も心も清らかにし、
(中略)静けさの中にやすらぎを得、多忙時にも心をなごます(後略)」
といった、香の魅力が四文字の漢語であらわされている。
本格的な香席は、こうした畳の間で行われるが
(記憶が曖昧ですが、このお部屋は
公家の遊びだったお香を、武家に持ち込み「香道」に導いていった足利八代将軍義政が、
京都に所有していたお屋敷の香間と同じ間取りと聞いたような)
今回は続きのフローリングの間で立礼(椅子席)にて行われた。
写真右は椅子席にあったしつらい。
こちらは香木の中でも珍重される「沈香」。
木の名前ではなく、長く水中にありその間に微生物等が発酵して
香るようになった木のこと。
写真右、黒くなっている部分が、微生物のかたまり。
こちらは書籍より。香道具一式。
写真の左手前、湯呑のような形をしているのが「聞香炉」で、
中には灰、中央に「銀葉」と呼ばれる雲母の薄いシートが置かれ、その上に
炊かれて香りをたちのぼらせている香木の小さな小さな一片が。
出席者はこれを順番に回していき、香りを聞いて、何の香りかを当てるというわけ。
なお、中央にある落雁のようなトレイには、
炊きあがった香木を置くそう。
茶道でいう「亭主」とは少し意味合いが違うが、お香をたてて回し、
香席を仕切る人はもちろんいて(香元)、
今回は、御家流という公家スタイルの流派の師範、丸山堯雪(ぎょうせつ)先生
でした。
(一方、武家スタイルには志野流という流派がある)
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さて、今回の星合香、主役はモチロン、織姫と彦星だ。
「まず、『試み香』といって、織姫と彦星の(役を割り当てられた)香を
1回ずつ回します。それぞれの香りを憶えておいてくださいね。」
と稲坂さん。
そして
「試み香が終わったら、本番です。
7つの香炉がどんどん回ってきます。その中に、織姫と彦星が1つずつあります。
残りの5つは『仇星』といって、織姫でも彦星でもない香です。
5つの仇星は、みな同じ香りです。
7つの香炉の中から、織姫と彦星がそれぞれ何番目に回ってきたか、当ててください」
回答は、名乗り紙と呼ばれる用紙に各々書いて、最後に回収し、答え合わせをするという
流れ。
……20名ほどの出席者。しんとした中、部屋の空気も流れを止めたかのような中に
香炉から香りがたちのぼるさまが、(実際に煙が立つわけではないけれど)
心を鎮め、甘くも奥ゆかしい時間が流れていく。
思うに、少なくとも私は、香りを言葉で記憶することに慣れておらず、
次々に回ってくる香炉の違いがだんだん、わからなくなってしまった。
彦星は…鼻の奥で広がるような少し辛めのスーッとした香り?
織姫は…鼻先でくぐもるような、甘いけどはっきりしない香り?
出席者の回答はこのように、丸山先生により書の形にまとめられ、
赤で採点される。(個人名はぼかしてあります)
TKさんは何と全問正解! この書が記念に贈られます。
私は、彦星は当てたのですが、織姫は間違えてしまいました。
初めてのお香体験、とても楽しかったし、癒されるひとときでした。
稲坂さんの本『香と日本人』の中に
-身分が高く、財力がなければいい香原料は手に入りません。しかし、
知識がなければせっかくのいい香原料もつかいこなせません。そして、
香りというのは感覚ですから、最後はその人の感性が重要になってきます- (P.51)
という一節があり、
ああ、それは他の「道」と名のつくものもそうだし、
着物にも言えることだなあ、なんて感じ入りました。
※香道具と採点についてはこちらのサイトが比較的わかり易いかなと思います。
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