今回は1公演のみで、文楽教室が別設定されており、
お友達はそちらへ行く方が多かったのですが、
私は本公演へ、一人で。
着ていったのは……

こちらも久しぶりの、更紗花の飛び柄小紋。
まあ、この写真では柄行きはわかりませんが…。
帯は織楽浅野さんの変わり七宝、帯締めは着物の大先輩からの
いただきもの。
帯揚げは、元町のじざいやさんでいただいた江戸小紋調。お気に入りです

後ろはこんな感じ。

全身はこんな感じ。

相変わらず、ちなみものがありませんが

光秀がメインだけれど、一応「太閤記」なので
お猿さんの手ぬぐいとお懐紙をしのばせていきました。
まあ、初日ですし、盛況をお祈りして。
開演前に、同じ敷地内にある情報館へ寄ったら、
歌舞伎で使われる籠が展示されており、写真OKだったので

撮っていただきました。こちらは大名用。
そして劇場へ入ると

奥の方に人だかりが。
協会の方や技芸員さんが熊本地震の義援金を呼びかけており、
何と吉田玉男さんがお人形とともに。
玉男さんはコチラの方。
↓

「写真撮影自由ですよ」
…というワケで私、募金箱に近づく前から顔を赤くし

撮っていただきました、ツーショット

照れてしまい、変な顔でスミマセン…。
この直後、実は人形の左手がパタン、と、私の肩にかかり、
「きゃー!」とさらに照れたまま(人形なのに!)
どアップでのツーショットも。
こちらはアップすぎて、ブログに載せられません…。
玉男さん、ありがとうございました!
舞台でのお姿を客席から観るよりも、ずっと小顔で驚きました。
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さて、今回はまず、本能寺の段の口。
咲寿太夫さんの美しさに
心奪われました。
床に太棹さんと2人並んでお出ましになるのを
私は初めて観ましたが、
もしかしたらご自身にとっても初だったのでしょうか。
咲寿太夫さんはこの方
↓

もう、出てきた瞬間、イケメンオーラ全開で
くらくらするほどでした。
芸事では、技芸員ご本人が目立つのはあまり良く言われないのかも
知れませんが、実に華があり、
私個人としては、演目が始まる前から


席が、太夫さんのほぼ横顔を真正面から拝見する位置だったこともあり
オペラグラスが手放せませんでした…

肩に力が入っていて、緊張しているご様子も手にとるように
伝わってきました。
語りも一所懸命で、お若く声が高いので、腰元しのぶちゃんなど女性役は
はまっていましたし、口とはいえかなりの分量を危なげなく語りきったと
思います。
まだ20代ですから、40年後が楽しみですね(見守っていきたいけれど、
そこまで生きている自信は…

もしかして師匠の咲太夫さんが裏で見守っていたのかしら、などと想像し
微笑ましく思ったりも。

話が前後しましたが、この「絵本太功記」は、
秀吉中心の「絵本太閤記」という読本をもとに、
明智光秀(役名は武智光秀)にスポットを当てつくられた作品。
今回かかったのは
本能寺の変~光秀が討たれる前までの四段。、
歌舞伎では「太十」といって、ラストの十段目、尼ヶ崎の段しか
まずかからないそうです。
この段だけでは光秀=逆賊で相応の報いを受ける、という
極めて倫理的というか
お決まりの話にとらえられがち。
しかし実は、絵本太功記は江戸幕府も末期に近い、
封建制度が揺らいでいたころの初演で
巧みにお上のチェックをすりぬけながら、
実は光秀の勇気をたたえる内容を盛り込んでいるとされています。
(このあたり、詳しい方のブログの受け売りです)
そのカギとなるのが、呂勢太夫さんの語った妙心寺の段。
ここに、光秀は謀反の責任をとって自害しようとしたところ、
家臣から「暴君を殺したのは天誅である」と説得され、
思いとどまる一幕があります。
光秀を正当化しているのですね。
素人の勝手な感想ですが、
この妙心寺の段、呂勢太夫さんにとても合っているように感じました。
呂勢さんはコチラの方。
↓

前回は、師匠の嶋太夫さんの引退ということもあり、どこか
いっぱいいっぱいな印象だったのですが、
今回は特に、光秀の母さつきが立ち去った後の、
舞台の動きが派手になったところから本領発揮の感が。
家臣の四王天が、光秀の自害を思いとどまらせる
長い居丈高なセリフ、聴きごたえがありました。
もともと語り分けはお上手な方ですが、
今回は、それに加え、静かなのに凄みがある場の緊張感が
とてもよく伝わってきました。
大詰めの「尼ヶ崎の段」は仕掛けも語りも見せ場がいっぱいで
さすがこの段だけでも上演が成立するだけある、と思いましたが、
太夫さんとの相性ってあるなあ…と。
三味線は歯切れよく、聴きごたえありました。
三味線といえば、
妙心寺の段の口、鶴澤清丈(丈は実際には右上に点)さんも
ソリッドで勢いある音と、一所懸命さがよく伝わる様子で好感度大でした。
お若い方がこれからどんどん、活躍していくといいなあ。
一方で、人形遣いの吉田文雀さんが米寿を迎え、ご引退とのこと。
女性役のしなやかな動きが印象的でした。寂しくなりますね…。