少し蒸し暑い雨の日。
トルファン綿の着物にルバース(ミヤヒラ吟子)さんの帯を締めてお出かけ。
午後の取材の前に、美術館へ。
丸の内にある三菱一号館美術館だ。
KATAGAMI STYLE。
19世紀後半に日本から世界へ広がった型紙が
影響を与えた作品を、欧米各国、各エリア別に展示している。
日本の精緻な型紙は、当時ともに海を渡った浮世絵同様、
欧米のアーティストやデザイナーの心をつかんだ。
これは海外の収集家による日本の型紙集の一部。
で、このスタイルがイギリスに伝わると…
こんな風になる(リバティ社)。
ヨーロッパでは、おもに壁紙や家具等のファブリックに展開された。
そのせいもあるのだろうけれど、
日本の型紙をたくさん見てからこれを見ると、
相対的に、大味…な印象を受けてしまう(ファンの方、すみません)。
その傾向は、フランスやアメリカも同じ。
この展示は工芸がメインだけど、
フランスのブースにはアール・ヌーボーの旗手として
アルフォンス・ミュシャの作品も。
その点、ドイツやオーストリアは……
多少ひいき目だが、
日本の“細かさ”をある程度継いでいる作品が目立った。
これはウィーン工房のコロマン・モーザーによるデザイン。
今でもソファ張りの布などに使われているそう。
また、オランダは歴史的背景から、
日本の型紙が世界でもっとも早く伝わった国と紹介されていたが、
その後、当時植民地だったインドネシアのバティックと
融合したデザインが多く生み出されたとのこと。
こうして見ると、当然といえば当然だけど
日本の型紙がそのまま海外で使われることは
まずなく、その国の商業ベースにのって大きさも色も雰囲気も
アレンジされていることがよくわかる。
ただ、私はその一方で
(日本ほど細かい型紙の作成や染を行うノウハウまでは、海外に
届かなかったからじゃないの?)とこっそり、思っている。
型紙をキーワードにして世界を結んだ
趣深い展示ではあったけれど、
日本の型紙の何が伝わり、何が伝わらなかったのか、
各国のオリジナリティは何なのか、
もう一歩踏みこんだ解説があったらなあ、と、
若干の消化不良感が残った。
マニアックなことは抜きにして、欧米の造形美を広く浅く
見るにはおすすめです。
展示は5月27日(日)まで。美術館のHPはコチラ。
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