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晴れ晴れと賑やかな、国立劇場大劇場。
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1階フロアでは恒例の獅子舞が。
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幕間にお弁当を食べたり……
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プチお年賀を渡し合ったり……
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(みなが撮った写真をYさんが編集してくださいました)
今年はお友達と5人、やはり大勢だと賑やかで
おしゃべりも弾んで、
新春の喜びを分かち合えるっていいものですね
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全員の後ろ姿。
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左からYさん、朋百香さん、Rさん、RUさん、そして私。
今回は時間の都合で、朋百香さんの帯周りと裾のアップのみパチリ。
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藍と白を基調にしたノーブルなコーデ。
シャネルのツイードもぴったり
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さて、演目の方は……
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(この先、多少のネタばれがありますので、これからご覧になる方は
ご留意ください)
時代は室町。足利義満譜代の家臣 小栗判官と
足利氏に討たれた新田義貞の末裔とされる稀代の悪党 風間八郎との
宝蔵をめぐる攻防と、
鎌倉執権の娘 照手姫をめぐる三角関係を軸にした物語で
冒頭からいきなり風間が妖術を使い煙と消えたり、
小栗判官が裸の暴れ馬を乗りこなし、高さのある派手な芸をしたり
(ダイナミックな馬の動きに拍手!)
そこここに見せ場があり、展開もスピーディ。
ただ、以前の初春歌舞伎、例えば里見八犬伝と比べると、
今年の演目はやや地味に、私の目にはうつってしまいました。
妖術も目立ったのは最初だけだったし、
大立ち回りも、かつて屋根の上で松緑さんと菊之助さんがやりあった
場面を憶えていると、
今回の、船頭の一団VS松緑さんは計算された型の美しさはあったけれど
はらはら、どきどきは控えめだったかな、と。
そんな中で、鮮烈に心に残ったのは
お代官さまのふりをしようとして失敗する
憎めない悪党 市村橘太郎さん演じる瀬田の橋蔵。
「ワタシ、失敗しないので」と言った傍から
台詞を間違え(芝居の中での話)、片岡亀蔵さんがすかさず、「違うだろー」。
もっと「忖度」して欲しい、といった台詞も。
最後は何とシャンシャンのコスプレ(?)で口上を述べるなど
すっかり客席をもっていきました。
尾上右近さん演じる照手姫はとても淑やかで美しくて、
ルフィと同じ人とは思えません。
時蔵さん演じる恋仇のお槇も、嫉妬に心乱された様子が
よく出ていて、
「女の嫉妬は怖いねえ」と、終演後に着物友とぽつり。
最後は、風間八郎をみなで追い詰めるも
お約束の「今は勝負せず、いずれ」で、登場人物がずらり並び
見得をきっておしまい。
水戸黄門の印籠のごとく、わかってはいてもこのシーンを観ると、
ああ、お正月らしいなあ、と思います。
以前にも書いたかと思いますが、
音羽屋さんの多い初春歌舞伎、声が良くて……特にワタシ、
坂東彦三郎さんが大好きで。
襲名公演には行くことができず、今回が襲名後初めての鑑賞。
出番はほぼ一幕目に集中しており、あまり長い時間お出ましには
ならなかったのですが、
よく通るお声に滑舌の良さ、しっかり楽しませていただきました。
そして最後に、おもな登場人物が客席に手ぬぐいを投げる際、
彦三郎さんの一投が、私に向かって……
はっと手を伸ばしたのですが、シュート回転し、手をはじいて
後ろへとんでいってしまいました。残念……
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さすが野球の心得あり、球速(?)すごかったです。
せめて、
「彦三郎さまが、私の着物姿に目を留め、
私に向かって投げてくださったんだわ
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妄想し、もうしばらくの間、おめでたい気分で過ごそうと思います(笑)
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話はまったく変わりますが
成人の日の今日、きものレンタル業者の雲隠れのニュースが
世間を騒がせており、私も胸を痛めています。
一生に一度の成人の日に、大人の裏切りにより酷い目に遭い
今後、着物を見ればこの嫌な出来事が思い出されてしまう人も
いるであろうことは
じわじわと、きものに関わる業界や、きもの好きな一般の私たちにさえも
可視不可視の別なくダメージを及ぼすでしょう。
「信じる、信じ合う」という、社会生活を送る上で必ず持っていなければ
立ち行かない心の持ちようが、こんな形で冒されるのは、
これも人生経験、などと慰めてフォローできる域を超えています。
人としての純粋な喜びや祝いの気持ちを軽んじる、
「雑」な風土、社会にはなってほしくないな、と今は切に思います。