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 ♪♪♪ H.Tokuda

「おとぎ猫」ライブ映像集 (2)

2017-10-20 22:05:54 | ライブレポート


 自分ではビデオを録ったりしないのだが、お店やお友達に録ってもらった動画が少したまったので、第2集を掲載します。
 曲名をクリックするとyoutubeの画面が開きます。

♪♪ 私を待つ人がいる (2017. 9. 3 スマイル「にちようライブ」)

 最近、ナターシャセブンの曲を演奏する機会が増えてきた。原曲はカーター・ファミリーの「There's Someone Waiting For Me」。
 オートハープのソロをドキドキしながら見守り、それが無事終わったあと僕は満面の笑顔。自分で見ても、けっこうおもろいです。(笑)




♪♪ 今宵恋に泣く (2017. 5.14 スマイル「アメリカンフォークを楽しもう!」)

 これもカーター・ファミリーの曲でナターシャセブンのレパートリー。原題は「I’m Thinking Tonight Of My Blue Eyes」。
 普通はもっと歯切れよく、アップテンポでやるものだが、ユミさんはゆっくり、まったりと歌う。彼女の声は、こういったスローバラードによく合っていると思う。
 ベースの野口さんは僕よりもひと回り年上の大ベテラン。大学のブルーグラスサークルで、城田さんや坂庭さん(ナターシャセブン)の先輩だったらしい。お若く見えますね!




♪♪ 異邦人 (2017. 7. 2 スマイル「にちようライブ」)

 この曲は最初「白い朝」という題名で、ピアノ伴奏だけでしっとりと歌われていた。それにあのエスニック風の凄いアレンジが加えられ、作詞作曲者の久保田早紀も「これが自分の曲か」と驚いたという。
 1番はオートハープの弾き語り。原曲「白い朝」は聴いたことないのだが、ひょっとするとこんな感じなのかも。
 エレ・ガットのギターを買ったのが嬉しくて、さっそく使ってみた。メロディアスな感じでやりたかったのだが、ガットギターの弾き方が分かってなくて、結局はスチール弦で弾いてるのと変わらない。(^^;




♪♪ この想い (2017. 9.18 スマイル「谷口伸司追悼ライブ」)

 谷口さんとは親しくしていただき、一緒に演奏したことも何度かあった。CAPOという男女ユニットを組んでおられ、ハーモニーがとても素敵。同じ男女ユニットとして、憧れの先輩だった。まだ2年くらいの付き合いだった。あまりにも残念。
 泣かずにやろうと思っていたのに、やるせない気持ちになってしまい、ギターの音が何だか重苦しい。隣を見ると、ユミさんは目を真っ赤にして歌っていた。こんなに悲しい気持ちでギターを弾いたのは初めての経験だった。
 原曲はトム・パクストンの「The Last Thing On My Mind」。




♪♪ 「いちご白書」をもう一度 (2017. 7.30 スマイル「フォークな仲間たち」)

 とても親しくしていた塩ちゃん。彼もこの夏、帰らぬ人となってしまった。彼とはあちらこちらのライブ会場で、一緒にギターを弾いて遊んだ仲。僕よりも一つ年上だった。ほんとに、早すぎる。
 今年の7月、次のライブでギターを弾かせてほしいと、塩ちゃんが言ってきた。もちろん僕らは大歓迎。でも、彼の方からそんな申し出をしてくるのは不自然なようにも思った。
 「これで最後にしようと思うんや。もうギターは弾かない」と彼が言う。
 「なんで? そんな寂しいこと言うなよ。病気をしっかり治してまた一緒にやろうよ」と、僕。
 「左手に力が入らなくて、ちゃんと押さえられないんだ」と彼は言った。「コードはうまく押さえられないけど、リードギターなら何とかなる」と。
 大丈夫だろうかと心配だったが、ライブ当日、彼は元気な姿を見せてくれた。
 「無理はしないでよ。軽く、それらしく弾いてくれたらいい」と僕は言ったが、「いや、大丈夫。思い切り力を振り絞って頑張って弾くよ」と彼は笑顔で答えた。
 この動画はそのときの映像。動きにくい指で精一杯弾いてくれた彼の渾身の演奏を、どうか聴いてほしい。




♪♪ さよならが言えない (2017. 1 サンライズ音楽広場)

 サンライズ・カフェでのセッション。このとき僕はバンジョーを持って行ってなかったのか、ギターを弾いている。
 リードボーカルはミヤコさん。女性二人によるハーモニーが、なかなか良い感じ。マンドリン杉野さん。塩ちゃんもいるんだけど、ギターのヘッドだけしか写ってなくて残念。


♪♪ 豊郷音楽祭 (2017.10. 9 豊郷小学校旧講堂)

 アニメ「けいおん」の聖地としても有名な旧豊郷小学校、ここでのライブ参加は3回目となる。
 今回の演奏曲は、
 1 アニメ “アルプスの少女ハイジ” より「おしえて」
 2 今宵恋に泣く
 3 生活の柄
 4 リターン・トゥ・パラダイス
 この動画には上記4曲が収録されている。
 2曲目からはフォークグラスさんとのセッション。おとぎ猫+フォークグラスで「キャットグラス」と称している。よく音が響く講堂で楽器7本の編成。音量バランスの調整が難しそうだ。




*おまけ*
♪♪ 22歳の別れ (2017. 4. 9 森のくまさん「コテコテフォークライブ」)

 最近は「おとぎ猫」の活動ばかりで、HITOMAZzのほうは除名処分寸前。(笑)
 この日、久しぶりに3人で演奏をした。当日、安物(1万5千円)の12弦ギターを渡され、高音弦中心にナシュビルチューニング風に弾けだと。そんな難しいことが出来るかい! コード間違えずに弾くのが精一杯でした。



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 「おとぎ猫」の活動を始めてから2年が経過した。この間、さまざまなジャンルの音楽に取り組み、いろんな会場に出させてもらい、そしてたくさんの方々とのセッションを楽しませていただいた。「下手でもいいから楽しくやろう」が僕たちのモットー。ユミさんのオートハープは急速に上達したが、僕のギターは旧態依然。でも、二人で演奏を重ねるたびに互いの息が合ってきて、ユニットとしての一体感は育ってきたように思う。

 この夏には親しい友人を二人も失い、とても悲しい思いをした。一緒に演奏したことを想い出し、こうして動画を見たりすると、今も涙がこぼれそうになってくる。僕たちはこれから、彼らの分までも、たっぷり音楽に親しんで行きたいと思う。
 まずは自分たちが楽しみ、多くの仲間たちとのつながりを大切にし、そして聴いてくださる方々にその楽しさを伝えることができたらと、日々願っているところである。




 

太陽の塔

2017-10-07 00:54:46 | エッセイ


 大阪万博にそれほど深い思い入れがあるわけでもないのに、太陽の塔を見るとタイムスリップしたような気分になる。当時はすごく大きな建造物だと思っていた。先日間近に見たとき、意外と小さくてびっくり。僕自身が大きくなったということだろうか。

 この塔は言わずと知れた岡本太郎氏の代表作。当時の人々からは「牛乳瓶のお化け」などと批判を浴びた。太郎氏は、「文明の進歩に反比例して、人の心がどんどん貧しくなっていく現代に対するアンチテーゼとしてこの塔を作ったのだ」と訳の分からない説明をした。「国の金を使って好き勝手なものを造った」という批判に対しては、「個性的なものの方がむしろ普遍性がある」と反論した。この塔の形状は、当時岡本太郎氏が飼っていたカラスをモデルとしてデザインされたそうだが、そもそも、家でカラスを飼っているというところがすごい。(笑)
 主催者は塔の内部に歴史上の偉人の写真を並べるつもりだったが、太郎氏は「世界を支えているのは偉人でなく、無名の人たちである」として、無名の人々の写真や民具を並べるよう提言。強引にそれを実現させた。塔の目の部分をヘルメット姿の男が占拠し、万博中止を訴えた「アイジャック事件」の際には狂喜して、居合わせたマスコミに対し「イカスねぇ。ダンスでも踊ったらよかろうに」と語ったらしい。

 当時の万博主催者は、歌謡界の大御所・三波春夫氏に「こんにちわ~ 世界の~ 国から~♪」と歌わせる一方、博覧会のシンボルであるメイン・オブジェの制作をこんな変な前衛芸術家に依頼するという離れ業をやってのけたわけだ。こういう混沌とした状況は、1970年代の幕開けを告げる、当時わが国の世相を象徴しているようにも感じられる。
 この年にヒットした歌謡曲は、皆川おさむ「黒ネコのタンゴ」、藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」、由紀さおり「手紙」、辺見マリ「経験」、ソルティー・シュガー「走れコウタロー」など。洋楽ではビートルズの「レット・イット・ビー」やサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」など。
 「戦争を知らない子供たち」は、万博会場内で開かれたフォーク・コンサートの場で初めて披露され、翌年にはジローズによるシングルレコードが発売されてヒットした。

 太陽の塔の内部には、先に述べた無名な人々の写真のほか、アメーバや原生動物から、三葉虫、アンモナイト、恐竜、そして人類に至るまで、様々な生物の模型が展示されていた。これらの模型は、当時ウルトラマンなどで名を馳せた円谷プロが製作を担当したらしい。
 薄暗い照明の中、地鳴りのような音や恐竜の鳴き声などが響き、そこを通ると何とも神妙な気持ちになった。僕は高校生時代に生物の進化に興味を持ち、大学では古生物学を専攻したが、そうしたことには、小学生のころ「太陽の塔」で体感した生命の神秘への記憶が深く関係しているように思う。

 現在では公園の一隅に取り残された太陽の塔。良く管理された芝生の中で、年老いた退役軍人みたいにぽつんとその余生を存えている。数々の前衛的なオブジェを見慣れてきた僕らの眼には、その姿はもはや奇異なものとは映らず、むしろ昭和の懐かしさを感じさせるスタンダードな風景と化してしまった。
 僕にとって、太陽の塔は今も1970年代の象徴。わくわく、ドキドキ過ごした思春期の激動の時代。あの塔の中には、「あしたのジョー」や、ドリフターズや、麻丘めぐみや、ビートルズや、「小さな恋のメロディ」や、「赤頭巾ちゃん気をつけて」や、そういった数々の歴史的文化遺産がいっぱい詰まっているように感じられる。
 僕は相変わらずそうした時代の音楽や文学作品に親しみ続けている。懐古主義というよりも、過去のある時点で同じ場所をぐるぐると回り続け、そこから先に進めないって感じだ。十年ひと昔。それを何度も繰り返し、いま僕は21世紀の社会にいる。戦争を知らない子供たちはすっかり大人になり、もうそろそろ高齢者の仲間入り。僕らはその少し後ろから、ずっと先輩たちの姿を眺め、彼らが創り出す新しい形の音楽や文学に憧れ続けてきた。
 懐かしいあの時代。僕は今も当時の少年のような気持ちで、古いフォークソングなどを歌い続けている。太陽の塔は、そうした「昔の少年」のあがきを、ずっと見守り続けてくれているように思うのだ。