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 ♪♪♪ H.Tokuda

還暦を迎えるにあたって

2019-01-22 22:19:06 | エッセイ


還暦――。えらい歳になってしまった。昔なら、ここまで生きたらまあ上等といったところだったのだろう。十干十二支がひと回りして、生まれた暦の位置まで戻って来たわけだ。
4月の誕生日で60歳になるのだが、マラソンに例えれば今ちょうど陸上競技場のトラックに差し掛かったあたり。あのテープを切ればゴールインかと思えば、「はい、2周目頑張ってくださいね」と手を振ってまた送り出される。2巡目のゴールはどう考えても無理なので、どこかの路上でぶっ倒れてリタイヤということになるのだろう。人生にゴールはない。あるのは自分自身が残してきたあやふやな足跡だけだ。

成人になってから早40年が過ぎた。その間にオリンピックが10回開催され、西暦は21世紀を迎えた。昭和は平成へと変わり、さらに新しい元号へ変わろうとしている。
元号が2つも違うってのは、昭和から見た明治みたいなもので、ずいぶん古めかしい感じ。しかし僕はいまだに徹底した昭和人間で、やっている音楽は昭和のものばかりだし、聴く音楽も読む本も、ほとんど昭和の時代のものだ。
平成は30年間も続いたのに、何となくするっと抜けて行ったような感じで、この時代を生きてきたという実感はあまりない。やはり僕には昭和の風景が懐かしく、特にその時代の音楽や文学作品、漫画などのサブカルチャーにたまらない魅力を感じる。

僕のやっていること自体は、高校生の頃とほとんど変わっていない。ギターやバンジョーを弾き、パソコンを使って将棋を指したり、こうして文章を書いたり、・・・使っている道具が違うだけで、やっていることは昔とまったく同じだ。
将棋はずいぶん弱くなったし、楽器の演奏もなかなか上達しない。加齢とともに学習能力は衰える一方で、上達どころか現状を維持するのが精一杯。ずっと昔に覚えた曲は歌詞やコードをしっかり思い出せるのに、最近覚えた曲は1週間も経てばすっかり忘れてしまっている。昨日の夕食に何を食べたかも覚えてないくらいなので、まあ仕方ないか。
しかし、失ったものがあれば、新たに得たものもある。今の僕は、かつて高嶺の花だったマーチンやギブソンのギターを弾き、ライブハウスなどで演奏させてもらい、気の向くまま好きな音楽を楽しんでいる。高校生の頃のバンド仲間とは今も親しくしているし、新しく知り合った音楽仲間もたくさんできた。
高校生の頃は女の子と一緒にフォークソングを歌うことに憧れていたのだが、その夢も今頃になってやっと実現した。(笑)

冒頭の画像は、フェイスブックでの新年あいさつ用に作成したもの。「猪突猛進」をもじったものだが、「ちょっとずつ」の文字には、「無理せず、気楽に、マイペースで」という思いが込められている。ちょっとずつ、休み休みでも、気持ちだけは「猛進」の勢いを忘れずにいたい。
人生2巡目の節目にあたって、新たに決意することなど何もない。願わくは、子供に還ったつもりで、あの昭和の時代、青春時代に置き忘れたことをやり直してみたい。若い頃のようには急がず、一日一日をゆっくり味わいながら、定年退職後の余生を楽しく過ごして行きたいと思っている。