2016年の夏に、空海が804年に入唐の折に流れ着いた福建省宁德市霞浦县赤岸村を訪れた時の話です。
空海は、804年7月6日、肥前国松浦郡田浦→五島市三井楽町 から入唐の途についた。空海を乗せ出航した第16次遣唐使船4艘は、途中暴風雨に遭い、うち2艘は消息を断ち、空海の乗った第一船は漂流した後、8月10日に「福州長渓県赤岸鎮己南ノ海口」(福建省福州市から北へ約250キロに位置する海岸)にようやく辿りついた。
やっとの思いで唐に辿り着いたものの、海賊の疑いをかけられたり、あまりにも僻地のため赤岸鎮の役人には上陸の申請もできず、その後、渓県の役所まで行き、県令の胡延泝に面会するもここでも「対処できない。福州の役所へ行ってくれ」と言われ、空海をのせた第一船は、この後赤岸鎮から追われるようにして福州の観察処置使閻済美(えん・せいび)のところへ向かうことになった。→こちらの「空海」入唐求法の項
いろいろ大変だったようです。
![]() |
上記写真は、1984年公開の北大路欣也主演の映画「空海」の第一船が嵐に遭遇した映像
この漂着した場所を前々から探訪してみようと、計画していた。当日は雨の天気予報がはずれ、晴れとなったので、決行した。
赤岸村は現在は、福建省宁德市霞浦县赤岸村で、福建省福州市と浙江省温州市の中間点に位置する。(または、沖縄の真西付近と言えようか)
![]() |
![]() |
この赤岸村は、当時、私が住んでいた福州市連江からは165kmの地で、高速火車(中国新幹線)で約45分、長距離高速バスで約2時間で行ける。しかし、高速火車は4本/日、高速バスは2本/日とまったく不便。
連江駅は周りに何もない箇所にあり、また赤岸村の最寄り駅の霞浦(Xia2Pu3)駅には駅前に食堂などあり、少しは観光地のようですが、似たり寄ったりでした。
午前11時頃に連江駅に行き、12時34分の高速火車(中国新幹線)D2282便の切符を買おうとしたが、全席売りきれで、仕方がなく、無座券(立ち席券、33.5元)を買った。帰りの切符は、21:00のD6337便の一等(40.5元)が何とか買え、いざ(?)出発した。
電車に乗ると、ドア付近は満杯で、通路も写真の様であった。45分間我慢することにした。
![]() |
霞浦駅に着き、駅前の食堂で、水餃子を食べながら、店の親父と地図を見せながら、どう行けば良いか相談したら、歩いて行けるよ! と----。
しかし、後に、夏の暑さで疲れが出て倒れないかなど考慮して、バイクタクシーを捕まえることにした。地図を見せ、赤岸村(Chi4An4Cun)の「空海坊」(KongHaiFang)まで行ってくれと、値段交渉をし、15元で出発することにした。
(中国のド田舎でも、バイクタクシー(中国語では摩的=Mo2Di2)は結構、拾えるので、なんとかなるものですね)
![]() |
霞浦駅からバイクタクシーで、空海坊まで来て、さらに湾の先端(北岐滩涂)近くまで行ってみた。
![]() |
![]() |
汐の干満の差が大きいのか、青い海はなく、干潟が広がっており、写真のように、船は海の底の土に潜っていた。空海が漂着した後、1200年の間に、泥が湾にたまったのかもしれない。
この北岐滩涂は風光明媚な場所で、写真家が沢山集まる場所のようだ。→こちらの動画
バイクタクシーを捕まえ、「空海坊」(1995年建立)まで、戻ってきた。そこから炎天下の中、「空海大師紀念堂」への参道を、てくてく歩き始めた.
![]() |
写真の右奥の寺院は地蔵寺。
参道の両脇及び海側は、浅瀬を利用した養殖場となっており、有明海のムツゴロウと似たような魚が養殖されていた。
![]() |
![]() |
途中、昔の海岸はこの近辺にあったのだろうか、空海が漂着した地「赤岸」の標石と、「空海入唐之地-赤岸」の記念碑を見つけた。
![]() |
![]() |
後方は、1994年建立の「空海大師紀念堂」(中日両国が出資して1994年5月21日に建てられた記念堂)
![]() |
記念碑の裏に故事が書かれている。
赤岸海側への一望。
![]() |
この崖の下が、「空海大師紀念堂・境内」となっており、境内には、いろんな碑がある。→こちら
「空海大師紀念堂」の中へは入れなかったが、こちらのサイトに記念堂内部の写真があるので、拝借しよう。
空海入唐故事は中国でも有名なようで、中国版「9章 空海和尚」テレビ番組にもなっている。→こちら(中国語) ぜひ御覧あれ!!
このブログを書いている折に、見つけたが、最近では、この街の小学生が歴史を調べ、観光客向けに解説を行っているようだ。こちらの報道
「空海大師紀念堂」の航空写真です。
![]() |
空海一行が、赤岸村から福州に移った後の話は、後日の「開元寺・福州探索」をお楽しみ!
ランキングに参加中。クリックして応援をお願いします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます