子どもたちの未来のために
2025.3.3 高木仁三郎市民科学基金が、昨年6月25日、内閣府食品安全委員会PFASの食品健康影響評価調査結果について疑義があると記者会見を行いました。
当会会員であり運営委員として精力的に活動している西岡文子さんから、記者会見の詳細な報告が届きました。当会は、「PFAS汚染」は私たちの命とくらしにかかわる重大な問題であるとの認識から引き続き取り組んでいきます。
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認定 NPO 法人「高木基金」PFAS プロジェクト‐2025年 3 月3日の記者会見を見て
西岡文子
ジャーナリストの幸田さんより、3月3日衆院第二議員会館で NPO 法人高木基金が記者会見をしま す。内容は食品安全委員会が PFAS の評価書を作る際に、本来なら参照論文とすべき論文をごっそ り差し替えていたというものです。ZOOM でも公開しているということでした。
2 時間半以上に及ぶ丁寧な説明の記者会見でした。見終わった後、何故この様なことが平然と行われ てきたのか何を信じたらよいのか暗澹たる気持ちになりました。
でも、この PFAS 評価書について疑問を持ち気の遠くなるような量の論文を相手に一つ一つ丁寧に 調べ検証された高木基金の高橋さんたち、そして協力された先生方には頭が下がります。感謝です。
食品安全委員会の報告によると、PFAS の食品健康影響評価は2024年 6 月 25 日にまとまりまし た。食品安全委員会が、自らの意思で評価を行うと決定し、ワーキンググループを設置したのが23 年 2月。10人の専門委員と 12 人の専門参考人が PFAS に関する論文や各国政府機関の報告書など 数百の文献に目を通し、計9回の会合で意見を述べ議論してきたそうです。
しかし、裏では PFAS の評価書を作成する時に論文 257 報を参照するとしたものの、7割以上を差 し替えていたということ、そして最重要と考えられる文献 165 報のうち 122 報を除外する一方、評 価には不要と考えられる文献を含む 201 報を追加していました。しかし、食品安全委員会はこうした 多数の論文差し替えについて、その理由や経緯を含めて説明をしていないということです。
その結果、ヒトを対象とした疫学研究は「証拠が限定的」などとして全て退け、かつて独自の「耐容1日 摂取量(TDI)」設定も断念し米国 EPA による2016年のリスク評価を採用し、その動物実験の結果 (2005年、2006年)基に PFOS、PFOA それぞれ「体重1キロあたり 20ng/kg/日」としました。海 外と比較すると最新の米国 EPA の220倍~666倍 EFAS(欧州食品安全機関)の 64 倍以上大き く、その上暴露による健康影響との関連も認めていないのです。例えば妊娠中に暴露すると妊娠中 毒、早産、流産そして、母親の暴露により染色体異常がある?また、発がん性、脂質異常、腎機能低下、 男性糖尿などなど
記者会見では検証に関わったアドバイザーの先生方が信じられないと言わんばかりにそれぞれの視 点からなにが問題なのかを述べられていました。
特に印象に残ったのが、アドバイザーで、環境脳神経科学情報センターの木村・黒田純子副代表「非公式の会合で論文の差し替えをやっていて、透明性はありません。説明なしの入れ替えはだめです。」は っきりと述べられていました。
また、PFAS プロジェクトのメンバーで中下裕子弁護士は、「今までにない、過程がオープンになる PFAS のリスク評価にはすごく期待していた。そして、YouTube で全部見て、議事録も全て読んで きたが、論文の差し替えには全く気がつかなかった.」と強い口調で憤りとショックを隠せない感じで した。
最後、質疑応答では他のワーキンググループでも差し替えがおきているのかの質問に対しては「知る限り起きていない」 ということでした。そのあと農薬の話になり農薬の委員会は非公開だそうです。その理由は営業秘密 があるとかで、とくにネオニコチノイドの文献の評価が間違いだそうです。話はそれますが、ヨーロッ パなど海外に輸出するお茶は無農薬です。日本国内のお茶には農薬を使っています。台湾にイチゴを 輸出しようとしたとき、検査で残留農薬が見つかり不合格になり輸出できないことがあるそうです。 日本は農薬にあまいです。
ほかには、システマティックレビューについて日本は機能していない? (システマティックレビューは 何なのかよくわかりません)リスク評価には予算がつかないのでワーキンググループに当事者が入ることになる。PFAS では住友化学などEU では懸念原則、予防原則の考えがしっかりしているので対応が早い、しかし日本は出来ていない。 海外から帰ってくると日本はガラパコス化していると感じるもう一つの環境汚染問題マイクロプラスチックについてプラスチックにも PFAS などが含まれている そうです。今や、魚は勿論、人体、母乳、名水お井戸水からもマイクロプラスチックが検出されていま す。知れば知るほど暗い気持ちになりますが知らないでは済まされません。
最後にアドバイザーの先生方は記者に、メディアの人たちにどんどん調べてどの様な影響があるのか をしっかりと読み取ってほしい。そしてこの問題を広めてほしい、PFOA のワーキンググループが非公式会合で論文の差し替えを行っていたと言うのは推論で言っているので、メディアが取材してほしいと何度もお願いされていました。知らなかったでは済まされない所まだ来ているように感じました。ありきたりですが、子どもたち未来のためにも、知り広めていく必要があると思います。
(参考)
NPO法人高木仁三郎市民科学基金HP
https://www.takagifund.org/activity/2024/20250303pfas.html