交野・憲法とくらしを考える会

人は誰もがしあわせになる権利があります。日本国憲法にのっとり、暮らしの中からしあわせを追求していきたいと思います。

「虎に翼」と日本国憲法 川瀬康裕

2024-09-30 21:17:41 | 会員より

「虎に翼」と日本国憲法    

川瀬康裕

 

始まって間もないNHK朝ドラに福島みずほさんや平井美津子さん大絶賛男女雇用均等法施行1年目に会社員(毎日放送)となった三上智恵さんそのの自分と重な何度も涙が頬をつたってきたという尊敬する女性方にそこまで言わせる「虎に翼」は日本初の女性弁護士であり後に判事や家庭裁判所長になった三淵嘉子モデルのドラマ女性自立とそれを妨げる差別的制度や風潮戦争戦争孤児朝鮮人差別、夫婦別姓、同性愛さらに原爆裁判などなど現在社会問題これでもかと盛り込まれた。これを書いている時点で終了まであと3週間となる9月末目前となってきて、私はトラつばロス喪失感恐れ始めている。

ドラマの根底にあるテーマ日本国憲法13条と14あろう。主人公寅子(ともこ)は、女性であるが故また戦時のために難関な弁護士資格を得るも思うように仕事をさせてもらえついに挫折してしまう。その上夫が戦死したことを知ひどく落胆ふらふらとひとり訪れた多摩川の河原偶然広げた新聞に記載された新憲法に目がとまる

13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。

14条 すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

人生のどん底陥った寅子は新憲法から希望をもらいその希望を弟に分けながらもう一度法曹界に飛び込もうとチャレンジすることになる。このエピソードが描かれた44話と45話が私は好きだそして寅子の復活の原動力となった13条と14条はその後度々登場する

さて。政府自民党は自衛隊発足して70「自衛隊は合憲」と続けてきただが安倍政権以降違憲だという意見があるので改憲して9条に自衛隊条項を加えたいとの声がまってきたはて?改憲の目的はそこじゃなく、本当は別のところにあるんじゃないの

 自民党ホームページに掲載されている2012年発表改憲草案をご覧になったことはあるだろうか。条文全般にわたって独自の案が出されているがここでは13条についてみていきたい

・現行13  すべての国民は、個人として尊重される

自民13  すべての国民は、として尊重される

「個」の一文字が削られている。これはどういうことだろうか。

私見だが、例えば…刑務所に収監されている受刑者もちろん人であり法の下でとして扱われる受刑者私たち同じ人なのに何が違うのか。当然だがそれは収監による束縛によって自由が制限されているか否か

自由それは人が個々それぞれ自分だけの人生を生きていくことに欠かせないだとすれば「個」の削除は、自由制限することに他ならないのではないか

さらに現行法では、国民の権利については「公共の福祉に反しない限り」最大限の尊重を必要とするとした民党草案「公益及び公の秩序に反しない限り」に変更されている

公共の福祉とは多くの日本国民にとっての幸せ豊かさといった利益であって、「他の人との権利(人権)の衝突を調整するための基本的原理」だという

これに対し自民党案の公益というのは何か。「国家または社会公共の利益」(広辞苑第七版2018)とある。現行憲法と同じような意味だけでなく、政府など国の統治者にとっての利益という意味合いがある言葉に、自民党はざわざ言い換え

「市民にとっての自由」に対してはより軽く、「統治者にとって都合のよい利益」に対してはより重い。起こった際には国民の自由を制限強制的に従わせることあるということか先の戦争のような政府の暴走を防ぐ手立ては、自民党草案のどこにあるのだろう。

いずれにしても、私たち市民の自由や人権への日本国憲法の熱くて強い理念自民党はへなちょこなものに改憲しようとしていると思えてならない。ここで確認しておくが憲法というルールを守る義務は国民全員課されているではない。国会議員裁判官その他の公務員といった三権(立法・司法・行政)に携わる者、である(99条)為政者暴走せぬようにと、その権力を憲法を都合のよいユルユルなものにしたいという見え透いた思惑を感じる

 一部の者の改憲への声が強まっている今、「虎に翼」は日本国憲法を改めて知り、考えるきっかけを作ってくれた。朝ドラは終わってしまうけれど、私たちにとっドラマのスタートはこれからろう。

※セッパラム文庫より転載

 

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