こらっワールドカップ

Coração da copa do mundo - ワールドカップ期間限定感想文

ジーコとエリクソンに見る選手選考でのリスクとギャンブル スウェーデン 2-2 イングランド

2006-06-21 22:29:11 | 2006ドイツ大会
スウェーデン 2-2 イングランド 6月20日

私の好きな2チームの対戦。イングランドは既に決勝トーナメント進出を決めていて、スウェーデンは負けてしまうとトリニダードトバゴ次第でわからないという状況の1戦。結局間際にラーションが決めて引き分けた。

実は試合はハイライトしか見ていないので。。。イングランドのエリクソン監督とジーコ監督に見る選手選考の考え方を分析してみよう。

イングランドのストライカー、オーウェンがこの試合で膝をひねり、結局残りのワールドカップに出られないことになった。
イングランドのフォワードは4名。オーウェンの他に、長身のクラウチ、イングランド一番のストライカーであるルーニー、そして、17才の新星ウォルコットである。エリクソン監督の選考は2つの点でギャンブルであると話題になっていた。一つはルーニーの回復である。ルーニーは4月29日に足の甲を骨折しており(当初は決勝戦まで行けば出れると言われていた)、その回復はイギリスを上げての騒ぎであったそうだ。下に引用するのはイギリスの新聞のルーニーに引っ掛けた駄洒落見出しの例なのだが、とにかくルーニーは帰って来た。
Rooney´s name gives the headline-writers lots of opportunity to create corny headlines, such as “Wish Roo were here!” (when Rooney did not play against Paraguay), or “We are thROO!”, meaning England are through to the next round with six points from two games, or “Wayne to go!” (instead of the American rallying cry, “way to go”).
ルーニー狂想曲に終焉をジェレミーウォーカー

もう一つのギャンブルは17才のウォルコットの選出である。かれはなんと一度もトップチーム(プレミアリーグ等)に出場しないまま、もちろん代表にも呼ばれないままワールドカップ代表に呼ばれてしまった。そして、のこる2人がピータークラウチと川口能活は元チームメイトって知ってた?で書いたクラウチと、実績があるも最近まで怪我をしていたオーウェンであった。すなわち、その4名とは骨折、無名の17才、でかいが実質実績半年の長身、そして怪我上がりのエースである。
これはすごい。使えるかどうかわからないフォワードを2名選び、他の2名も盤石ではない人選なのであった。

一方ジーコの選出を見てみよう。ご存知の通り、高原、柳沢、大黒、玉田、巻の5名である。話題になったのは、久保がもれて、巻が選ばれたことだ。久保がもれたことと、柳沢の状態は関係していると私は見ている。柳沢は(ルーニーほど直近ではないが)骨折をしてリハビリ中であった。一方久保は持病の腰痛持ちに加えて、調子を落としていた。もし柳沢の体調が完璧であれば、ジーコは久保を選んでいたと思う。しかし2名の怪我持ちが、同時に居なくなるリスクをジーコは嫌ったのだ。これはまともな考え方だと思う。ということで久保がいなくてぼやいている人は柳沢の骨折が裏にあったことを覚えておきましょう。ちなみにかつて小野伸二がオリンピック予選のフィリピン戦で靭帯を切ったのも柳沢がからんでいたと私は思っている。彼は突然フィリピン戦にでられなくなり(理由はあえて書かないが)、それでボールの集まりどころが小野に集中して(その試合までは小野と柳沢でボールを持っていた)、彼はフィリピンの暴力的タックルの餌食になった。

話がそれたが、エリクソンとジーコの考え方には天と地ほどの開きがあることがわかるだろう。
あとはその危険を冒したこと、あるいは石橋を叩いたことを監督自身がどう大会をしながら活かすか、ということだ。
その答えはもうすぐ出る。


2006-06-21 22:38:53
余談なので、自分でコメントしてみます。

去年 The Who が日本公演を行ったのですが、そこに来ていた日本人の客がイングランドのレプリカユニフォームを着て来ていた。それがルーニーのだったのですが、なんとルーニーのRの字の上にMの字を書いて、Moonyにしていたのだった。言わずもがなですが、故 Keith Moon に捧げたその姿はなかなか粋で、Whoのホームページでも取り上げられたのだった。